同居、ふたりの恋心

ハル

第1話 同居生活

「美津歩(みずほ)、私、今の彼と結婚しようと思うの。お腹にも彼と話し合った上でいるんだけど、そこで同居をしようと思うんだ」



私の姉・梨生(りお)。25歳。


突然の暴露。




「同居!?相手の両親も?って事?」

「ええ」

「そうなんだ。良いんじゃない?」


「そう?ただ、彼には弟がいて、弟と同居する事にもなるけど…良い?あなたと同級生なんだけど…」


「…えっ…!?」


「学校も転校して、あなたと同じ高校になるらしわよ」




「………………」




「…同級生……同じ学校……同じ家……」

 




「ひとつ屋根の下で、年頃の男女を住まわせるわけーーっ!?」



「ひとつ屋根の下で、年頃の男女を住ませるんかーー!?」




私達は別々の場所で大声を出し騒ぐ。




「「そう」」


二人のカップルが同時に返事をする。





「冗談じゃないわよ!反対、反対!」



「冗談やない!反対や!」





再び、各々返事をする。






しかし――――




そんな反対の意見なんて通るわけなく――――





「彼、孝夜(こうや)の弟さんの、悠志(ゆうし)君よ」


「そして、彼女・梨生(りお)さんの、妹さんの美津歩ちゃんだ」



私達は顔を合わせず、ふてくされていた。




「まあ、とにかく同居するんだし仲良くしてね」


お姉ちゃんが言った。



「二人はラブラブで良いよね?私達は付き合っているわけでもないし、突然の同居で、24時間、同じ顔見なきゃなんないんだよ!」


「俺かて好きで同居するわけやない!」


「やだ!あなた関西の人!?」


「関西人を否定すんの辞めてくれへん?ちゅうか仕方ないやろ!?俺は、兄貴とは兄弟やねんから!」


「…えっ…?」


「俺は両親の顔も知らへんから、両親いないのも同然なんや!戸籍は、養子やねんぞ!」


「…悠志、お前、その話は…」




「いずれバレてまうんや!それやったら先に言うてた方がええやろ?バレて、いちいち説明すんのも面倒いわ!同情されても良い迷惑なんや!一言、言っておくけど俺のプライベートに首突っ込むの辞めてな。それだけ守ってくれたらええ!ほな、俺、用事あるから」




そう言って、帰って行き始める。



「ちょ、ちょっと用事って…せっかく顔合わせたのに用事?嘘でしょう?」


「仕方ないやん!いちいち仲良くする理由ないやろ?顔合わせれば済む事なんちゃうん?」


「…それは…」




そして、彼は去って行く。




「ごめん…美津歩ちゃん…あんな弟で…」


お義兄さんが言った。



「あ、いいえ…」


「悠志君…いつもあんな感じなの?」


と、お姉ちゃんが尋ねた。




「いや…ここ最近は特に酷いんだ」


「そう…やっぱり同居するの辞めた方が良かったのかしら?」


「意地張ってるだけだよ。男の子だもん。悪い人と付きあっている感じじゃないと思うし。16・17って遊び盛りだから、プライベート放っておいても大丈夫だと思うし。あれだけ自分の意見ハッキリ言うんだもん。そっとしておくと良いと思う」





♪♪♪〜


『メール受信あり』




『美津歩、出かけない?超、暇してんだー。用事あるって言ってたけど、無理かな?』



親友の春耶(はるか)からの連絡だった。




「ごめん!親友から連絡なんだけど…遊びに行って良いかな?」


「あ、うん…」


「ごめんっ!弟とも顔は、一応合わせた事だし、これから嫌でも毎日、顔合わせるわけだし。じゃあ、そういう事で」




私も席を外した。



そして、私達、渡世(わたせ)家と愛神(あいがみ)家の同居生活が始まるのだった。

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