第28話 スラムを抜け出す?

 翌朝、俺はエリーゼにスラムを脱出する旨と理由を伝えた。


 トリックルームに隠れていても、いずれ食料が尽きるのはエリーゼも理解していた。それならばとスラム脱出に賛同してくれた。


 正直な所、安全な飲水を生み出すトリックルームを置いてスラムを出るのは痛手だ。ヨボヨボのスライムより怖いモンスターは無数に居るだろうから、安全な寝蔵としても重宝するだろう。


 考えるほどにトリックルームが便利すぎる。腕輪さえあれば、自由に再配置できたのかと思うと盗っ人にむかっ腹が立つ。


 俺は徐ろにカードケースから、一枚の魔法スペルを取り出した。


「『地割れ』…これなら空堀を崩して地上への道を作れるかもしれない」


 パックから出たカードを見つめた。

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