第24話 高い代償

 結論を言葉で並べるなら、エリーゼの服は用意できた。対価として虎の子の食品カードと交換になったけど、スラムで子ども服など食品より希少なのだから必要な出費だと割り切ろう。


 それでもエリーゼを一緒に連れてきたのは失敗だった。エリーゼが金持ちの子どもだなんて、一目見ればわかる。


 迂闊だったとしか言いようがない。


「走れ!」

「そんな…早すぎる!」


 スラムの治安なんて有って無いようなものだ。そうでなければ、貴族の施しも手渡しで行われている。


 物陰に身を隠して直近のチンピラをやり過ごし、ホッと安堵の呼吸が音を造る。


「ごめんなさい…巻き込んでしまって…」

「お前が人に悪意を向けなかったとしても、お前に悪意が向かない訳じゃない」

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