29話 ビッグバンベヒーモス②

29話 ビッグバンベヒーモス②



ビッグバンベヒーモスは、かったるそうに100m近くある防壁を首を低くして鼻先で体当たりしようとする。


首を低くするだけでゴォーと、風を切り裂く音がする。


巨体に似合わず恐ろしく素早い。


(頼む。一発耐えてくれ。念のため支えるか…。)


「力場。」




とてつもないスピードでタックルが繰り出される。鼻先が轟音と共に防壁に当たる。


ドゴォォーン。


一瞬にして防壁にクモの巣のようなヒビが入る。


(あぶねー。防壁を強化しておいて良かった。)



ビッグバンベヒーモスの鼻先から繰り出されるタックルはとてつもない威力だが、聖一が防壁の後ろを力場で補強することでなんとか一撃耐えたようだ。


(2発目はない。次は壊されるな。しかし一瞬でも隙ができれば良いんだ。行けー!)


一瞬止める事ができれば、それでもう作戦通りだったようで、聖一が鼻息を荒くして喜んでいる。



ハイエルの母のママエルが叫ぶ。


「それでは、罠、発動でございます!!!」


ハイエルフ族は片方の岩山の頂上付近に陣取っていたようで、そこからあらかじめ張ってあった罠魔法を発動させる。


するとビッグバンベヒーモスの足元に魔方陣が浮かび上がる。


魔方陣から罠が発動して、シュルシュルと大量の蔦が足元をからめとる。


(よし!いいぞ!!!)



簡単にはほどけないようでビッグバンベヒーモスは嫌そうにしている。






そこへギルマ率いる冒険者部隊が片方の岩山から魔法弓と魔法攻撃をしかける。


「皆~!まじ卍~!!全人類のために頑張ってる好きピの為にも頑張るわよ~!はぁぁぁ、行けぇお前ら!!!!ふん!」


くねくねしながらギルマは冒険者隊の指揮を取る。




冒険者隊はあらかじめ魔法をかけてある矢をどんどん放つ。


火属性、土属性、水属性、氷属性、風属性、雷属性、色々な魔法の矢を浴びせる。


その横で魔法使いも魔法をガンガン当てていく。


「氷属性が一番嫌そうにしているいるわね。皆!氷属性一点集中よ!!」



(さすがギルマ。指揮能力すごいな。よし、少しでも効いてくれ。)





もう片方の岩山から、罠を発動し終わったママエルとハイエル率いるハイエルフが土魔法を浴びせていく。



その横から岩を持ったジャイアントヒューマン族が現れる。


「あたいたちもいるよ!」


「ははは、娘がこんなにたくましくなるなんて。よし!投げろ!!」


そして、チチアントとアント率いるジャイアントヒューマン族が岩を放り投げる。



魔法攻撃と質量攻撃でビッグバンベヒーモスを畳み掛けにいく。


一斉攻撃だ。




(よし!いいぞ!いける!このまましずんでくれ!!)



「氷らせてばっかりじゃあ、マジ寒いわよね?ハネビちゃーん!」


「はーい、じゃあ油かけちゃうよーん!」



上空からハネビト族が持っていた壺から油をかける。


そして、ギルマが弓矢の先に火魔法をエンチャントして弓を放つ。


「マジ燃えちゃってー。」


ビシュン!と放たれた矢が着弾して油に引火する。




燃え上がるビッグバンベヒーモス。


「キャギャォギャーーグゲゴガー!!!!!!」


ビッグバンベヒーモスが叫んでいる。




炎は一気に業火にへと変わる。




(よしいいぞ。よしいいぞ。このままま、このまま倒れてくれ!)

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