第19話 パンチドラゴンの羽スジ煮込みとエンペラーモグラ



19話 パンチドラゴンの羽スジ煮込みとエンペラーモグラ


パンチドラゴンを倒してエネルギーが3人に流れ込む。


ロッジをブラックホールから出して風呂に入って汚れを落として、ご飯を食べる。


「ちょっと気になってる食材があるんだ。」


「え?気になる食材??なによ?」


「なんでありますです?」


(きっとあそこは煮込んだら旨い。)


「パンチドラゴンの腕みたいな羽!あれのスジだ!」


聖一はパンチドラゴンの羽が旨そうだと思っているようだ。


「え?でもドラゴンステーキの件もあるし大丈夫かしら?」


「ヤバイ可能性もありますですよ。」


マホとシャマはドラゴンステーキのような媚薬の効果があったら大変だと思っているようだ。


「その時はその時だ。まずはうまい飯を食ってパワーをつけよう。」


「聖一の美味しいご飯への探求心って、ちょっと怖いときあるわよね。」


「はい。でもそういうところも聖一さんの好きな所でありますです。」


「ちょちょ、そんな私だって本気で怖い訳じゃなくて可愛いと思ってる……いやそうじゃなくて……んもう!とにかく食べましょう!!」


「マホさん可愛いでありますです。」


「な、なにがよ!」


マホは顔を真っ赤にしている。


それを横目に聖一は必死に料理の準備している。


「よし!」


どうやら下準備が終わったようだ。



「ふーんふーん♪鍋に羽のスジと回りの肉をいれて、調味料を入れて、鍋に蓋をして火にかける。っと。」


(そしてそして!!ここでひと手間だ。)


「鍋と蓋は完全な密閉じゃないので、力場で蓋を完全密閉して圧力をかけるぞ。力場!」


「ぶー!なに料理にスキル無駄使いしてんのよ!」


驚きで飲んでいた水を吹き出すマホ。


「すぐ回復するから大丈夫!これで一時間くらい煮込みまーす。力場が切れる度に力場を使って蓋を密閉し続けなきゃいけないから俺は鍋を見てるよ。2人は仮眠とってていいよ。」


「食欲がすごいわね。そして、もうほんとに力場便利ね。じゃあ、お言葉に甘えるわね。聖一ありがとう。」


「ありがとうございますです。」


煮込むこと1時間、無事に出来たようだ。


「出来たよー!」


「はぁーむにゃむにゃ。パンは焼いてバターは乗せくださいにゃ……ん?おはよぉ。」


「おはようございますです!」


若干寝ぼけ気味のマホと、寝起きの良いシャマ。


「おう、おはよー!さ、早速食べてみよう!いただきまーす。」


「はーい、ありがとう。いただきます。」


「いただきますです。」


3人はトロトロに煮込んだパンチドラゴンの羽スジを食べる。


「パク、う、うま~い。トロトロだよぉ~。最高だよぉ~。」


(牛スジ煮込みみたいな食感だ。旨いなぁ。少しだけコリコリして、トロトロだ。幸せ~。)


「なにこれ!美味しいじゃない!!」


「ぜ、絶品でありますです!」


マホはあまりの美味しさに聖一の背中をバンバンと叩く。


そして、あっという間に平らげる。


「パンチドラゴンの羽スジ煮込み。ご馳走さまでした。」




一行は力をつけるために索敵魔法を使いながら旅を続ける。


太陽は沈みかけて、辺りは暗くなりかけていた。




「ん?聖一あっちから来るわよ!」


土と草がまばらに生える開けた土地でマホの索敵魔法に敵が引っ掛かる。



「ん?いないぞ?」


「ん、変ね。…し、下よ!」


突然地面がゴボォと開き、穴が出来ていく。


「やばい、捕まれ!力場!」


聖一は2人を抱えてピョンピョン跳んでいく。


「あれは、たしかエンペラーモグラ!丘級でもかなり凶暴なモンスターよ!」


とてつもない巨大な穴から、ゴゴゴという轟音と共に巨大なモグラが飛び出してくる。


「やばいやばい!すまんマホとシャマ!どりゃあー!」


巨大モグラは土の中から、飛び出しながら爪をアッパーのように突き出してくる。


間一髪でかわす事は出来なそうだったので、2人を安全なところに放り投げる。


「ゴフ!」


「ゲフ!」


地面に叩きつけられるマホとシャマ。


聖一が回避運動をとるために出した力場に頭をぶつけて勢いが止まる巨大モグラ。


しかしアッパー気味に伸ばした爪は聖一の方まで伸びて左足を切り裂いていく。


「ぐっ!」


聖一の切り裂かれた、左の膝下から先の足はグルグルと回転しながらすごいスピードでマホとシャマの目の前に突き刺さる。


「きゃ!あ、足!」


「足でありますです!」


遅れて聖一も爪に切り裂かれた勢いで、錐揉みになって2人のところに飛んでくる。


「ぐは!」


マホは急いで足を持ってくっつけて回復魔法を唱える。


「聖一!回復の光!」


光に包まれて足がくっつく聖一。



「あ、ありがとうマホ…。」


「感謝はあとよ!向かってくるわよ!どうするの?!」


「モグラは光に弱い!!シャマ足止めしてくれ!あいつの動きが止まったらライトニングを叩き込むんだマホ!!」


「はいです!!」


「わかったわ!!」


シャマが放った爆発弓がエンペラーモグラの足に当たって少し動きが止まる。


「今ね!ライトニング!!」


光の筋が伸びてエンペラーモグラの目に直撃してもだえる。


「ギャグォー!」


飛び上がって地中に潜ろうとするエンペラーモグラ。


「力場!力場!力場!力場!力場!」


地面から天に伸びるように槍状の力場を5本出す。


勢いよく串刺しになるエンペラーモグラ。それでもまだ息をしているようだ。


「しぶといな。とどめー!!」


串刺しになって動けないエンペラーモグラの頭にめがけて聖一は向かっていく。


「どりゃあー!!!!」


そして右手にククリナイフと左手にダガーを持って十字に頭を切り裂く。



「力場!」


そして足場状の力場を出して脳天に向かって跳躍。


跳躍の勢いのまま、ククリナイフとダガーを頭蓋骨に突き刺して止めをさす。


エンペラーモグラはブヨブヨの口から血を吹き出すと共に息耐えた。


「ゴフッッ!!!」


勢いよく吹き出した血が腹部を直撃し、自分の口から血を吹き出すマホであった。


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