第7話告知

夜7時。細川は山崎純也の病室にいた。

純也の顔色は悪い。

細川はパイプ椅子に座った。

「細川、さぁありのままを言ってくれ。何も遠慮するな」

細川は神妙な面持ちで話し出した。

「君の肺は、播種だったよ。小林先生は直ぐに閉じたんだ。ガンが胸膜全体に広がっていて手術出来なかった」

山崎は笑顔で、

「そうか、正直に話してくれてありがとう。播種かぁ。夢が正夢だったんだな」

細川は山崎の顔を直視出来なかった。


「産まれてくる子供の顔も見れないのかぁ。かなり、進行していると言う事はそう余命は無いな。後、余命はいくらだと思う」

細川は間を置いた。

「持って3カ月」

「結婚式も子供も内科部長も無しか」

「奥さんには、明日説明するつもりだよ。山崎から言うか?」

「いや、細川頼む」


翌日。

「加藤まひるさん。山崎君の状態について説明致します」

まひるは、お願いしますと答えた。

「山崎君のガンはステージ4です。肺内転移が見受けられました。事態は深刻で余命は年単位では難しいでしょう」

まひるは、表情を崩さず、

「余命はどれくらいでしょうか?」

「はい。持って3ヶ月だと考えます」

まひるは、細川にお礼を言って退室した。

細川はまひるのその背中をじっと見続けていた。

まひるは、トイレに入った。

そして、嗚咽した。

現実は非情である。思いっきり泣くと純也の病室へ向かった。


目を真っ赤にして、現れたまひるを見て純也は悟った。

だが、まひるは笑顔で純也に語りかける姿に純也は心が痛くなった。

まひるは、結婚式場の雑誌を純也に見せた。

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