ゲーム3:ラブレター対決

 誰が早織を自分のものにできるか競うグループ

 参加者 健吾・勝太・弘人・いおりん♪


 伊織『それじゃあ、今日もやるよ~?』

 健吾『はーい』

 勝太『了解』

 弘人『頑張りまーす。最下位だけどー』

 伊織『はい、それじゃあ早速始めるね。眠い人いない? 朝早いけど』

 健吾『まあ、みんな会う時間が六時しかなかったから』

 弘人『午前の方の、な……』


 伊織『それじゃあ、ゲームを発表します!!』

 伊織『今回のゲームは……ラブレター対決だぁっ!!』

 勝太『あぁ……』

 健吾『もう大体わかったわ』

 弘人『え、全然分かんない』

 伊織『ワーワー言わないでくださーい。ルール説明しますよ~』

 伊織『とりあえず、三十分時間をあげるから、その間で早織にあげるラブレターを書いてください♪』

 弘人『?!?!』

 伊織『本当に上げるわけじゃない……いや、分かんないよ。良かったもんは伊織に見せるかも♡ だから真面目に真摯に書いてね!』

 健吾『マジ、俺文才無いんだけど』

 伊織『まあ、思いがこもってたらアリだよ◎ ええっと、前好きなとこ出しやった私とのトーク画面で投稿してね。あ、写真を。確か、前電話訪問した時に紙渡したよね?』

 勝太『ああ、そういえば』

 伊織『というわけでー、頑張ってね! 六時に十分からスタート! あ、もう過ぎてるね♡ というわけで、レッツゴー!』




 健吾は戸惑っていたがどうにか昨日もらった便せんに書き始めた。


『こんにちは。元気ですか? 僕は今日、早織ちゃんに言いたいことがあった。でも、直接言うのはあれかなと思ったから手紙で書いてます。好きです。付き合ってください。色々ごちゃごちゃ書くのが苦手だからこれだけで……。突然だからめっちゃめちゃビックリしてると思いますが、良い返事待ってます。  健吾』


 短文。でも、これが一番いい気がする。長々つらつら書くのは俺的に読みにくいから。

 早織はどんな反応をするのだろう。




『こんにちは。こんな手紙を急に渡してごめんなさい。ちょっと戸惑ってるよね。でもさ。早織ちゃんにどうしても伝えたいことがあるんだ。僕は早織ちゃんのこと、最初はただのクラスメートとして感じてた。自分から人を好きになったことがないから。でも、日に日に早織ちゃんにだんだん惹かれて行って。話してても楽しいし、リーダーシップもある。勉強も運動もできる。今は完全に早織ちゃんが好きです。本当のこと。もしよかったら付き合ってほしいです。急にこんなこと言われてアワアワしてると思うから、すぐ返事しなくても大丈夫だよ。でも、早織ちゃんも僕のこと、考えてくれたら嬉しいです。  勝太』


 どうだろう。ちょっと長いような気もするが、便せんに書いているのだからすぐ読めるだろうか。

 早織への愛を伝えて、良いところを言って褒める、そして、早織に手紙のことを謝って、心配する。

 プラスポイントになればいいが。

 早織の魅力にどこか惹かれる日々。デートとかいつするのだろう。するとしたらどこで? まず、どこで打ち合わせするのだろう。

 まあ、取り合えずできたから、投稿することにした。


 と、その時。インターホンが鳴った。

「こんにちは。勝太君? いるよね。早く出てよ。相談するよ♡」

 はっ。

 このどことなく明るくて、小悪魔な声と言ったら……。

「待って、今出る」

 慌ててスマホをポケットに突っ込むと、俺はドアを開けた。


「でさ、いつ空いてる? 私は日曜日しか空いてないんだよね。今週と来週の」

「俺はいつでも空いてる」

 早織はうちのソファにダイブすると、いきなり話を始めた。

「じゃあ、どこでやる?」

「え、どこでもいいけど」

「ん~、難しいねぇ。じゃあ、取り合えずここに行かない?」

 早織はスマホであるカフェの画像を取り出した。

「HappyHOT。へぇ、なるほど。雰囲気良い。店の名前も良いなぁ」

「でしょでしょ! なら、ここで決まり! そっから先はその時決めよ! OK、じゃあ今週の日曜でいいよね?」

「ああ。多分予定ない。と思うわ」

「よっしゃぁっ!! 楽しみ! じゃね! バイバ~イ!」

「え、待って、あ、うん、バイバイ」

 早織は勝太にほとんど話を譲らず、わずか一分ほどで出て行った。




 弘人はラブレターを書いている。

 半分は自信にあふれている。だが、もう半分は不安だ。もし、伊織が何か気づけば。

 まあ、気づかないことは分かっているが、それでも不安だった。

 何より、自分に対する責めがあるが、だが勝ちきるにはこれしかなかった。健吾にどうにかして追いつかなければならない。

『早織ちゃんへ』

 ここは少し改良。

『突然のことで、驚かせてしまったらすみません。早織ちゃんに伝えたいことがあるのですが、直接だと困らせてしまうと思い、手紙を書きました。早織ちゃんと僕とは同じクラスだから、早織ちゃんはどんどん僕に声をかけて来てくれる。それが、僕みたいな人間にとってはとても嬉しかったんです。そこから、僕はある思いを持ちました。それを伝えたい。早織ちゃんのことが好きです。僕と付き合ってください。ぜひ返事を聞かせてください。  弘人』

 どうだろう。

 文面にはそりゃあ困らないが、結構いい感じにできたのではないだろうか。

 弘人はこれを写真に撮って、伊織に送った。

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