第42話 料理 × ずっとここにいて

机には、たくさんの多国籍料理が並べなられている。


「ここでは、料理はサラとセレナの担当なんだ。サラとセレナは栄養学も勉強してくれてるから、美味しいし安心だよ。ちなみに彼女たちはスペイン人だよ」

ドゥーエが説明してくれる。


確かにサラダも、数種類の野菜にベーコンを炒めてカリカリにしたもの、だいたい同じ大きさに切られた魚介類、その上にチーズと煎り卵、味付けはバルサミコ酢ベースだろうか。


「うまっ!」

声に出てしまった。


「だよね、美味しいでしょ。彼女たちは世界の料理を学んでいるから、味は間違いないよ」


サラダを食べたあと、すぐにサラがサラダに合うお酒を持ってきてくれた。赤ワイン、白ワイン、ビール等。お盆に色々並べられている。


「サラとセレナは、各料理に合うと思うお酒を用意してくれるから、その中から選んであげてね。もし、他のお酒を飲みたいとかなら、冷蔵庫から自分で取ってくれてもいいよ」


『至れり尽くせりじゃん!金持ちすげ~な!』


「あ、ここにいる全員、日本語はだいたい理解できるから、英人さんは日本語で話してくれて大丈夫だからね」


『一体、何ヵ国語話せるんだよ……』


「ありがとうございます」


「じゃあ、どうしよっか? 立食にしてもいいし、適当に座って話しながらでも」

ワンが英人に尋ねる。


「これだけ料理並べてくれてるなら、立食でいいよ。みんな疲れてきたら座ればいいかな?」


「そうだね、ならそうしよう」


「あのお願いがあるんだけど」

英人が、困惑した表情で話す。


「どうしたの?」


「また、特殊メイクがないところで、自己紹介をしなおしてくれるかな? このままじゃ顔を覚えられないよ」


「あはは、そうだね」

eightersたちはオイトが入手した写真で英人の顔を知っているが、英人は全くわからない。


「いやあ、本当にeightersのみんなに会えるなんて、今でも夢みたいだよ」


「僕たちの感想はやっと会えた。良かった。って感じかな」

タラータが一安心と言いたげだ。


そのあとは『e-to』との出会いや、eightersの出会いのなれそめを聞いたり、一回目のメールの時の状況とかをみんなが『色々大変だったんだよ!』と教えてくれた。


『良かった。eightersも俺と何ら変わらない人間なんだな』


クリスティーヌとアンナはだんだん心のコントロールが効かなくなっていく。


必死に抑えている感情が今にも爆発しそうだ。

 

2人で腕を組み、料理を手にしながら、英人に近づく。

 

「こちらも食べる?」


「あ、ありがとう」


「私たちは『e-to』さんとはかなり前からのお知り合いなんだから、気にしないで」


「僕も『cr』と『a』なら、かなり前から知っていたよ」


「ほんとに?」

アンナの顔が赤くなる。


『あれ? もしかして俺モテ期到来なのか?』


「本当ですよ。参考にする文献とか根拠がしっかりしてるなって思ってたよ。でも、すごいね、こんな特殊メイクもできるなんて」


「あ、これは、クリスティーヌ家の秘伝があるの。アンナと私は、幼馴染でアンナだけクリスティーヌ家の秘伝継承を許されたのよ。一応、英人様が知っている有名な映画の特殊メイクは、ほとんど私たちがしていると思うわ」


「え、そんなすごいんだっ! でもそうだよね、eightersのみんなの見てもすごいもん!」


「本当は、身体の可動域も広げたり狭めたりもできるのよ。今回は時間がなかったから、そこまでは間に合わなかったけど」


「そんなことまで? 熱心に研究しているんだね。尊敬するよ」


「もともと私たちは医者家系なの。それで、鍼についても勉強して、東洋医学も学んだのよ」


『すごいな、西洋医学と東洋医学の融合がこの2人の技術力なのか』


「今度良ければ、その仕組みとか作業風景とか見せてほしいな」

英人は、軽く興味本位で言ってしまった。


「「ほんとにっ?」」


2人の声がそろった。


『本当に幼馴染で仲も良いんだな。あれ、でも秘伝なのにそんな簡単に見せてもらっていいのか?』


「いくらでも見て。英人様はいつまでこっちにいるの?」


「とりあえず5日間ぐらいかなと思っているんだけど」


「ぐらい?最大は?」


「最大は7日間ぐらいいれるかな?」


「なら、7日間こっちにいて!」


『めっちゃ圧が凄いなっ!』


「ま、まあ、考えておくよ」


すぐ横にいた『赤鬼ワン』が声をかける。

「なんなら、もう帰らないで、ずっとここにいてくれればいいんだよ」


「え?」


「それは、すごいいいわね。そうしましょうよ」

クリスティーヌがワンに共感する。


「いや、ちょっと待ってよ。仕事もあるし、向こうに住んでるんだからね。しかもビザもないわけだし」


「eightersに入ってくれれば何も問題なく解決できるね。仕事辞めるのは連絡さえすれば?」


「いやいや、だめだよ。残している仕事もあるんだから」


「僕たちのほうが英人を求めてるし、必要としているんだよ?」


「そう言ってもらえるのは、本当にうれしいよ。」


「じゃ、いいじゃない。ここが嫌なら私たちもアメリカ人でそんな遠くには住んでないから、私かアンナの家に住んだらいいわよ。それも嫌なら、私たちが英人様の住みたい家を新しく建てるわ」


「飛躍しすぎだよ」

英人は苦笑いする。

 

みんなが集まってきた。


ケモ耳剣士サラ』が口火を切る。

「今まで本当にみんなあなたに会いたかったのよ。ここでのランチは、『e-to』の議論チャットを見ながら。がルールなぐらいなのよ」


「そうよ。海外で議論するときは、ワンとクリスティーヌとアンナはランチの時間までずらすんだから。」

サキュバスセレナ』は呆れた表情で話す。


サラとセレナは必死だった。


『『あと少しで、『ama ama』ができる生活に戻れるっ!!』』

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