栞を挟んで、早く誰かに渡したい

この物語の続きは、見なくていいから


老人がボロボロの本を片手に

「おやおや君、その本は

 まだまだ書けるところがあるだろう?」


幼児が新品の本を片手に

「僕のこの本、『再利用は出来ません』って

 返されちゃった」


老人も幼児も去っていく

本を片手に立ち止まる私


そんな私のところに、君が来たんだ

本を持つ私の手に、優しく手を重ねたんだ

「栞は、また本を開くためにあるの

 だから大丈夫 辛かったら一回挟んで

 ちょっと休んで 今日は寝ちゃえばいいの

 それでまた読みたくなったら

 続きから読めばいいのよ」


この物語は、私のもの

今はちょっと疲れたけれど

また次会う日まで

お休みなさい

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