「しにたいね、」

まぬあ

第1話 俺

 ピピピピピピピピ

 「はあ」

 俺の一日はため息から始まる。なんでか?つまんないからだ。朝から聞きたくもない目覚まし音に起こされ、学校に行き、帰って家でYouTube見て一日が終わる高校生活。ああこの毎日がずっと続いていくのかと思うと、死にたいなあ、なんて思ったりする。別に家庭環境が悪いわけでも、友人関係がうまくいってないわけでもない。ただ、このまま自分が生きてても死んでも特にこの世界は変わらない。もし俺がエジソンだったら死んではいけない、電球なくなるし。でも、俺は?まあ自分で言うことでもないかもしれないが、家族は泣くと思う。でもそれだけ。世界は変わらない。でも俺が死なないのは、怖いから。痛いのは嫌いだ。

 「、、、しにてえなあ」

 バス停についた。少し遅れている、ツイてない。制服のポケットから無線イヤホンを取り出す。隣の、いかにも音楽好きそうなロン毛チリチリの男はヘッドホンを肩にかけている。こうゆうやつを見ると音楽が好きなのではなくて、音楽好きの自分が好きなんだろうなと思ってしまう。まあそれくらいに俺はひねくれものだ。

 「よっすー」

 「おお」

 「ヘッドホンじゃんいいな、えしかもBluetooth?高くね?」

 「なわけ金ねえよ。線切った。」

 「しぬ(笑)」

 思わずにやけてしまった。ただのひねくれ者の想像も馬鹿にできないな。ファッションのためにわざわざ首が凝るような真似は理解できない。

 プシュー。バスが着いた。登校時間は混んでいて座ることができないので、バックを前に抱えて吊革を握る。ふと視界にjkが入り込んで、すぐに見えなくなった。顔は知っている。同じクラスのあの子だ。おれとは関わりの無い、いわゆる一軍。死にたいなんて微塵も考えたことがないんだろう、どうせそこら辺の男と遊んでる軽い女だ。おれのひねくれ脳はいつでも活発であるが、比例してみじめにもなる。しにたい。

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