第33話 アーニャの野望

アーニャは燃えていた。


それは今日再び領主様がこの町に来ることになったからだ。


前回の領主来訪の時には給仕の仕事が面倒だったので手伝いに行かなかった。

そしたらマンサが領主に見染められてしまった。アーニャは後悔した。

しまった!その手があったか!と……、


アーニャを取り巻く男達にはいままで散々いろいろ貢がせたが所詮は貧乏町人。限界があるしそろそろ今の男たちにも飽きてきた。


アーニャは考えていた。


自分にこそ領主の妾、いや妻の立場が相応しいのではないか。


聞けば次の領主はけっこうな歳らしい、だがダンディで格好良ければ良いし、さらに息子がいれば次期領主の玉の輿チャンス!


マンサはもう結婚したし、前回のこともあったので今回は手伝いに来ないらしい。


アーニャは思った。


よし!次は私の番だ!!


お化粧も良し!


服も自慢の胸を目立たさせたオリジナル給仕服に改造済みで準備良し!

そう張り切ってもう準備万端よ!と一人高笑いをしていた。


その後、


「おい解散だ!!」


「へ?」


「領主様は今日泊まらずそのまま帰られることになった!皆もう準備はしなくても良い。片付けてこのまま解散してくれ!」


町の人達はホッとして解散しはじめた。

一部の人達は残念そうに立ち尽くしていた。


アーニャの野望は呆気なく潰えてしまった。

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