第13話〜本性〜

・ゴマちゃん……若きゴマの声、レモン、ウィンド

・無頼様……まっちゃ、こもにゃん、ダイカーン(アーク・ダイカーン)、ダイカーンの部下A、ダイカーンの部下C

・兎蛍様……ミカン、いくにゃん、ダイカーンの部下B

・砂漠様……ゴマじい、さとにゃん、シャロール、砂漠の使徒

・星花様……N、シルヴァ、シャロール、住民



ゴマちゃん役が多くて大変ですがいけますか?

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



N「ニャンバラへ帰ってきたゴマじい一行。

 前回、ティタニアのワープゲートが何故か突然消滅した。ニャンバラにおいても、ティタニアのワープゲートは全て消えており、街の混乱もすっかりおさまっていた」



ゴマじい「さあ、ダイカーンのところへ急ぐぞい」



N「ゴマじい一行は、ダイカーン城内へ急行した。城内に、ダイカーンの大声が響き渡る」



ダイカーン「どうなっているのだ! 何故、ワープゲートが突然消えた? せっかく、ワシが思い描く〝面白おかしい世界〟が築かれようとしていたというのに!」


ダイカーンの部下A「原因が全く分かりませぬ……」



N「そこへ、ゴマじい一行が到着」



レモン「失礼致す!」


ゴマじい「ほっほっほ、久しぶりですの、ダイカーン殿」


ダイカーン「……あなた方か。ワシはいま忙しい。帰ってもらえるか?」


ゴマじい「ほっほ、ならばまっちゃよ。証拠写真だけ置いていくがよい」


まっちゃ「じゃーん。この写真が、目に入らぬか!」


ミカン「あなたが、ワープゲートを世界にばら撒くように指示したのでしょう!」



N「シスエラの世界ではウィンドと共に、くつばこの世界ではシルヴァと共に、ティタニアのワープゲートをばら撒いていたダイカーンの部下の写真を、まっちゃはダイカーンに見せつけた」



ダイカーン「か……帰れ! 帰れい! それはワシの部下ではない!」


ゴマじい「おうおう、何と往生際の悪い……では、言葉通り、帰るとするかの」


ミカン「ゴマ様? 帰っちゃうんですか?」


ゴマじい「……を迎えねばならぬからのぉ」



N「ダイカーンに言われるまま部屋を出て、ゴマじい一行はダイカーン城の外に出た。

 すると突然——!」



ダイカーンの部下A「おっと、待ちな!」


ダイカーンの部下B「このまま帰すわけにはいきません!」



N「ダイカーン城の庭で、ゴマじいたちは10匹ほどのダイカーンの部下たちに取り囲まれてしまった。

 そして城の窓から、ダイカーンが空を飛ぶ椅子にふんぞりかえって座りながら降りてくる」



ダイカーン「ハハハ、馬鹿者どもめ。ワシに楯突いた者をタダで帰すと思ったか? 部下どもよ。あまり騒ぎにならぬよう、このジジイどもを手早く潰して、城の地下牢に放り込め!」


ダイカーンの部下A「4匹とも捕らえろ!」


レモン「ミカン、迎え撃て!」


ミカン「うん! ゴマ様とまっちゃはそこを動かないで!」

 


N「ダイカーンの部下10匹が、一行に駆け寄ろうとしたその時だった。

 風車のついた矢文が、飛んでくる!

 ダイカーンの部下たちは、咄嗟にゴマじいたちから離れた」



まっちゃ「ゴマ様ぁ! 危なああい!」



N「しかし矢文は、ゴマじいのおでこにクリーンヒットした」



ゴマじい「のわあああああ!」


レモン「ゴマ様⁉︎」



N「ゴマじいは、目をウルウルさせながらおでこに刺さった矢を引き抜き、添えられていた文書を読み上げた」



ゴマじい「あいたたた……。ふむふむぅ……〝ダイカーンの部下たちが放ったワープゲートは、元となる精霊の魔力ともども、このウィンド様とシルヴァが、ちゃあんと無効化しといたぜぃ。作戦成功でえい!〟、と。よぉしよし、よくやってくれた……」


レモン「ど……どういうことです?」



N「そこに!

 シルヴァ、ウィンドが颯爽と現れた。

 そして、ゴマじいたちを取り囲んでいた10匹のダイカーンの部下たちを次々にとっ捕まえ、あっという間にロープでぐるぐる巻きにしてしまった」



ダイカーンの部下A「ウィンド様⁉︎ なぜ……」


ダイカーンの部下B「うそ……姐御……⁉︎」



N「その様子を見たダイカーンは、顔を真っ赤にして怒り出す」



ダイカーン「な……⁉︎ シルヴァ! ウィンド! これはどーいうことだ。ワープゲートが消えてなくなったのは……テメェらのせいなのか! テメェら……裏切りやがったなァ⁉︎」


ウィンド「へっ! てやんでぃ、べらぼうめぃ! 俺様たちは、だけさぁ⭐︎」


シルヴァ「わたくしたちの潜入を見抜けないようでは、まだまだですわね、ダイカーン様っ♡」


ダイカーン「ぐぬぬぬぅ……!」


ゴマじい「ほっほっほ、よぉくやってくれた、シルヴァにウィンド。ご苦労ぢゃったのお」


シルヴァ「は! お安い御用でごさいます、ゴマ様」


ウィンド「へへっ! このぐれぇ、朝飯前さ!」



N「つまりウィンドとシルヴァは、初めからゴマじいの仲間であり、ゴマじいの指示でダイカーンの部下になりすまして忍び込んでいたのである。彼らがそれぞれの異世界において、ダイカーンの部下がばら撒いたティタニアのワープゲートを無効化。これが、ゴマじいのだったのだ。ゴマじいは始めから、ダイカーンの悪しき企みを見抜いていたのである」



レモン「……そういうことであったか!」


ミカン「ゴマ様……さすがです!」


まっちゃ「ねえ見て! 空から誰か降ってくる!」



N「まっちゃが空の上を指さす。

 空から降ってきたのは……」



佐藤「うわー!」


シャロール「きゃー!!」


衣來「何ここ!? どこ!?」


菰葉「まって無理ちょっとほんと無理ぼく高いところ無理なんだってっっっ!!!!!」



N「降ってきたのは何と、シスエラの世界から佐藤、シャロール、くつばこの世界から衣來、菰葉だった。それぞれの世界で、ワープゲートに飲み込まれた主人公たちである」



衣來「あっ、さっきのレモンくんみたいな子がいっぱいだ」


菰葉「あ……ほ、ほんとだ…………全部猫のサイズ……可愛いな」


佐藤「ここはどこだ?」


シャロール「わー! 猫さんかわいいー!」


佐藤「あれ、君たちはいったい?」


衣來「俺? 俺は桜庭 衣來!」


菰葉「湯野、菰葉です。……それで、あなた達は……?」


衣來「猫耳?」


佐藤「僕は勇者佐藤」


シャロール「私はシャロールだよっ!」


菰葉「勇者……シャロール……あっ……」



N「突然人間が空から降ってきたので、ニャンバラの住民たちが、ダイカーン城の庭まで様子を見にたくさん集まってきた」



ダイカーン「チッ、騒ぎになってきたな……」


ウィンド「お、来たな来たな! 異世界のヒーローたち!」


シルヴァ「忍術! みんな猫になぁ〜れ♡」



N「シルヴァが衣來たちに術をかけると、4人の顔が完全に猫になり、尻尾が生え、サイズも猫になった。シャロールだけは、サイズ以外はそのままの姿だった」



いくにゃん「わっ、菰葉! 猫になってるよ! アメショ!」


こもにゃん「衣來だって……! 三毛猫だ! すごい、すごいな……!」(気持ちテンション高め)


さとにゃん「な、何だこれ! 猫?!」


シャロール「わー! 佐藤かわいいー! あれ……? 私は変わらないの?」


さとにゃん「シャロールはもとから猫だからじゃないか?」


シャロール「そっか!」



N「いくにゃんたちは、自身をワープゲートに放り込んだウィンド、シルヴァを見つけ、声をかける」



いくにゃん「あっ、さっきの! なにここ! どうやって連れてきたの!?」


さとにゃん「僕らをどうするつもりだ!」


ウィンド「それは、これからお前さんたちの力が必要になるからでえい!」


シルヴァ「終わったら、帰して差し上げますわ」



N「ゴマじいはというと、集まってきた住民たちに、これまでのダイカーンの悪行を知らせているのだった」



ゴマじい「……と、いうわけで、ワープゲートで世界を混乱に陥れたのは、他でもないダイカーン殿ぢゃ。皆の者、選挙というものは、〝言ってること〟だけを見るんでなく、〝やってること〟〝猫間性にゃんげんせい〟を見て、投票せねばならぬぞい」


住民「そんなまさか、ダイカーン様が⁉︎」



N「その様子を見ていたダイカーンが、ついにキレた」



ダイカーン「おのれぃ、黙って聞いておれば田舎ジジイの分際で! 構わん、ここに居る者どもを一匹残らず、ひねりつぶせぃ!」


ダイカーンの部下C「はっ!」



N「城内から現れたのは、何と100匹のダイカーンの部下。武器を構え、ゴマじいたちに迫ってくる!」



ゴマじい「ほっほ、ダイカーンめ、遂に本性を現しましたな。レモン、ミカン。少し、懲らしめてやりなさい」


レモン「はっ!」


ミカン「はいっ!」


シルヴァ「さあ、異世界のヒーローたち。一緒に戦いましょう」


ウィンド「こうなることは分かってたからなぁ。お前らの力も必要だってことさ!」


いくにゃん「分かった! よし、俺達もいくよ! こもにゃん!」


こもにゃん「こ、こもにゃ……わ、わかった。い……いくにゃんっ!!」


いくにゃん「無理しなくていいんだよ?」


佐藤「よし! 勇者として僕もやるぞ!」



N「住民たちを安全な場所へ避難させるのは、まっちゃとシャロールだった」



まっちゃ「さあさ、皆様はこちらへ!」


シャロール「みんな、早く逃げて!」


住民「は、はいっ!」



N「乱戦が始まろうとしていたその時、城門を激しく叩く音が響いた」



シルヴァ「ん? 誰か来ますわね」



N「すると城門が突き破られ、1人の男が現れた。そして大声で叫ぶ」



砂漠の使徒「佐藤とシャロールを、返せー!」



N「……シスエラの作者、砂漠の使徒である。自らの作品のキャラクター、佐藤とシャロールを取り返すため、こんな所にまでやってきたのだ。そして何故か人間の姿のまま、サイズだけは猫サイズになっていた。

 ウィンドはびっくり仰天し、声をかける」



ウィンド「お前さん、あの時の変な男じゃねいか。どうやってここに来たんでえ? お前さんも、ワープゲートを使ったのかい?」


砂漠の使徒「そんなものは使ってない!」


ウィンド「んなら、一体どうやって来たってんだぁ⁉︎」


砂漠の使徒「気合いで来た」


ウィンド「はあーん⁉︎ 馬鹿なこというんじゃねえ! 何者なんだお前さん!」


シルヴァ「それに、どうやってネコサイズになったのです?」


砂漠の使徒「それも気合いだ!」


ウィンド「お、お前さん、なんなんだぁ、一体!」


砂漠の使徒「いや、別にネコサイズになる必要なかったか。じゃあ気合いで人間サイズに戻るぜ、はぁー!」



N「砂漠の使徒は、気合でムクムクと巨大化し、ダイカーン城を見下ろすサイズになった。いや、人間サイズよりでかくなってるじゃねーか!」



巨大・砂漠の使徒「佐藤とシャロールを返せええ! サバージェリー・インフェルノ!!!!」



N「巨大・砂漠の使徒は口から炎を吐き出し、ダイカーン城は瞬く間に炎に包まれた」



住民「きゃー!」


ダイカーン「な、ワシの城が……!」


ゴマじい「レ……レモン、ミカン! 先にあれを止めるのぢゃ!」


レモン「どうやって止めろというのです!」


ミカン「きゃーー‼︎」



N「巨大・砂漠の使徒は、城の庭で震えているシャロールを発見する」



巨大・砂漠の使徒「シャロールはっけーん! シャロールは返してもらうぞ」



N「巨大な手が、シャロールに伸びる! 頭を抱えて逃げ回るシャロール」



シャロール「いやああああ!」


佐藤「シャロール!」


巨大・砂漠の使徒「このままだと怖いか。ならもう一度気合いでネコサイズになるぜ!」



N「砂漠の使徒は再び猫サイズになり、シャロールのもとへ駆けつけた。

 炎に包まれたダイカーン城は、ガラガラと音を立てて崩れ落ちた」



さとにゃん「砂漠やりすぎだろ……」


砂漠の使徒「さあ佐藤、シャロール。シスエラの世界に帰ろう」


さとにゃん「待った! まだ黒幕のダイカーンを倒してないぞ!」


シャロール「そうだよ、砂漠さん!」



N「一方、100匹のダイカーンの部下と戦うレモン、ミカン、いくにゃん、こもにゃんは」



いくにゃん「みんなが自由であるために、俺は戦う!」


N「いくにゃんは、履いている靴を蹴飛ばし、その靴を操り、ダイカーンの部下にぶつけた」

 

ダイカーンの部下A「ぐはぁ!」



こもにゃん「平等と言葉通り、ぼくが全て護る……!」


N「こもにゃんは、カバンからマタタビとチュ◯ルを取り出し、近寄るダイカーンの部下たちを虜にしていった」


ダイカーンの部下B「わぁ〜おいし〜い! いい気持ち〜!」



レモン「ミカン、行くぞ! 必殺! 回転斬り!」


ミカン「うん! 3連魔法弾!」


ダイカーンの部下C「ぐわーー!」



N「100匹いたダイカーンの部下が次々に倒され、ロープで捕縛されていく。

 それを見て苛立ちを隠せなくなったダイカーンは、地面に降り立つと、禍々しい紫色のオーラをまとい始めた」



ダイカーン「……お前らに、ワシの本当の恐ろしさを見せてやろう……うおおおおお!!!」



N「ダイカーンの全身の黒い毛が逆立つと、身体が少しずつ機械化していく。身体は超硬化金属〝ギガトロニウム〟に覆われ、右手に巨大なバズーカが出現、ダイカーンはサイボーグと化した」



ダイカーン「〝アーク・ダイカーン‼︎〟」



N「アーク・ダイカーンは右手のバズーカにエネルギーを溜めると、青白く光る極太レーザー砲が、ゴマじいに向けて放たれた——!」



アーク・ダイカーン「くたばれぃ、田舎ジジイ!!」


レモン「まずい、ゴマ様が……!」


ミカン「ゴマ様、危なーーい‼︎」



N「だが、何とゴマじいは、目にも留まらぬ動きでその砲撃をかわし、瞬時にアーク・ダイカーンとの距離を詰めた!」



アーク・ダイカーン「な、何だと⁉︎」



N「そしてゴマじいは、アーク・ダイカーンに顔を近づけ、調問いかける」



ゴマじい(若きゴマの声)「……ボクが、ただのマヌケな田舎ジジイだと、テメエまさか本気で思ってやがったのか? ああ?」


アーク・ダイカーン「……な、こ! この喋り方は……⁉︎」


ゴマじい(若きゴマの声)「ハハハ。さあて、ここからが、ハイライトだ。……聖なる星の光よ、我に愛の力を!」


アーク・ダイカーン「まさか……まさか‼︎」



N「次回に続く……」

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