七月の掌編集(文披31題)

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あれは誰?(お題「黄昏」)

「あれは誰」私が押す車椅子の上で、母が言う。徐々に暗くなる道の向こうから、誰かが歩いてきた。母の主治医だ。和やかに会話をして先生が去り、進み始めた途端「あれは誰」。「誰もいないよ」認知症の進行は緩やかだが、最近はすぐこれだ。「あれは、あれは?」ため息と共に、墓地の隣を早足で歩く。

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