生きてる間、何度でも言うよ!好きだよ!
aki
第1話
ボカボカ陽気の公園のベンチで
ラテを飲むカップル。
田村玖美、辻春人は高校3年生だ。
2人は高校3年生で同じクラスに
なって、付き合い出した。
春人の一目惚れだった。
[春人、好きだよ!]
[おい!玖美お前、今日それで
何回目だ?]
[う~ん、10回目かな?]
[お前、毎日言ってたら1年で
何回、言うんだよ!]
[私は春人に何千回でも何万回
でも好きって言うよ!]
[どうして?1回言ってくれれば
分かるよ!]
[どうしても!フフフ]
とラテを飲む玖美。
玖美には春人に隠している事が
有った。
2人は共に大学進学だった。
家に帰った玖美。
すると母の良子が
[玖美、大丈夫?明日は病院に
行く日だからね!]
[うん、分かってる!]
玖美は高校2年の冬に倒れ病院に
運ばれた。
そして、白血病と診断された。
それから入院生活を送っていたが
今、安定していて学校に通ってる。
骨髄移植が有るがドナーが
見付からない。
毎日、待っていたのだ。
今、生きてる事が不思議な位
だった。
大学進学を決めたのは、そんな
玖美にも夢が有ったからだ。
翌日、病院へ行く玖美。
先生が
[田村さん、体調はどうですか?]
[落ち着いてます。]
[ドナーが早く見付かれば良いの
ですが…]
[先生、今迄待ったんですから
待ちます!]
[そうですか、じゃあ呉々も
無理はしない様にね!]
[はい、ありがとうございます。]
玖美は病院を後にした。
でも、そんな玖美を今日、学校を
休む理由を言わないから心配した
春人が、家からつけていた。
(玖美が病院?何だこれは?)
病院から出て来る玖美を見て
驚きが隠せない春人だった。
夕方、何も知らない振りをして
ラインを送った。
《おい!サボリの玖美、公園で
ラテしようぜ!》
《O.K.今から行くね!》
《ラジャー!》
2人は公園のベンチに腰をかける。
[玖美、お前、学校サボッテんじゃ
ね~よ!]
[ハハハ、ちょっと家の用事でね!
春人好きだよ!]
[出た~玖美の好きが!]
[うん、好き、好き、好き!]
[あ~分かったから、ラテ
飲めよ!]
[うん、美味しいね?]
[そうだな!]
(玖美は嘘についた!何でだ?)
色々、聞きたいが我慢する春人
だった。
[じゃあ、そろそろ帰ろうか?]
[うん]
[明日はサボルなよ!]
[うん、行くよ!]
[よし、じゃあな!]
[じゃあね、春人好きだよ!]
[ハハハ。]
(春人、ごめんね、ちゃんと
言わないと、いけないんだけど
恐くて言え無いよ!私の病気の
事を知ったら春人が居なくなり
そうで!)
[ただいま。]
[おかえり、何処に行ってたの?]
[春人と公園でラテ飲んでた。]
[玖美、春人君は知ってるの?]
[知らない!恐くて言って無いから!]
[そうなのね!]
そして晩御飯
父、幹一が帰ってきた。
[玖美、病院はどうだった?]
[うん、今は落ち着いてるって!]
[そうか~良かったな、無理は
するなよ!]
[うん。]
[お父さん、お父さんはお母さんが
病気だったら嫌?]
[そりゃあな~やっぱり元気な方が…
……でも玖美、玖美のは普通の病気
じゃ無いから玖美が気にするな!]
[ねぇ、普通の病気と、そうじゃ無い
病気って一体何なの?]
[それは……]
黙ってしまう父と母。
玖美は部屋に行ってしまった。
[お父さん、玖美は今、春人君に
病気の事を隠してるのが辛いん
でしょうね!言ってしまうと
居なくなる、そう思ってるから!]
[そうだな!玖美は何もして
無いのに辛いな!]
学校に行くと春人が
[サボリ~今日は来たんだな?]
[おはよう、来たよ、私、真面目
だもん!]
[おっと-サボリの口から真面目
宣言!]
[春人~遊んでるね~好きだよ!]
[はい、今日早速1回目~今日は
何回迄、行くんでしょうか?
さぁ~田村玖美さん意気込みを
聞かせて下さい。]
[新記録を目指して頑張ります!]
[ハハハハ、]
笑い合う2人。
2人共、心に秘めた思いを抱えながら
決して見せ様とせずに笑う。
[春人。]
[うん?]
[好きだよ!]
[もう授業始まるぞ!]
[うん。]
自分の席に戻る玖美。
(私は、いつまで、こうして
春人を見ていられるんだろう?)
お昼休み
[玖美、弁当?]
[うん。]
[て言っても玖美は毎日、弁当
だもんな!]
と言ってパンをかじる春人。
[春人、今日お弁当とパン
交換しよう!]
[何で?]
[私、今日パンが食べたい。]
[じゃあ、うま~おばさんの弁当!]
[でしょう?愛情がたっぷり入ってる
からね!美味しい~このパン。]
[そうか?]
[多分、工場で働いてる人の
愛情が、たっぷり入ってるんだね?]
[そんな事あるかい!ハハハハ、]
と笑う春人。
優しい笑顔だ。
[おい、お前達、何時も2人で
食べてるな?]
[たまには一緒に食べようぜ!]
と男子達。
[お~又、今度な!]
と、さりげなく断ってくれる春人。
帰りは何時も春人が家迄送って
くれる。
[ありがとう、春人好きだよ!]
[おう、又、明日な!]
そう言ってると玄関が開いた。
母が出て来た。
[あら、春人君、何時もありがとうね!
何か飲んで帰る?]
[いや、もう帰ります。]
[そう?一度遊びにいらっしゃいね。]
[はい。]
と言って春人は帰って行った。
[良い子だね?春人君。]
[うん、本当に。]
[玖美は幸せ者だね?]
[お母さんでしょう?お父さんに
愛されて!]
[そう私、幸せなの~]
[はい、はい、ご馳走様です!]
[フフフ]
と笑う2人。
[玖美、今度の日曜日、春人君
家に呼んだら?何かご馳走を
作るわよ!]
[うん、一回聞いてみる!]
[うん、そうして!]
[は~い。]
玖美は部屋に入ると春人にラインを
した。
《春人、日曜日お母さんが遊びに
来ないかって言ってるよ!》
《じゃあ行く!》
《うん、じゃあ、お母さんに
そう言っとく!好きだよ!》
《出た~じゃあな!》
《うん。》
[お母さん、春人、日曜日来るって!]
[そう?じゃあ料理頑張らないと!]
楽しそうな母を見て羨ましい玖美
だった。
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