彼女の浮気が発覚してガチ凹みしている僕を、美少女妖怪の二人組が癒してくれた件

斑猫

第0話  プロローグ

 夢のような瞬間って、まさに今の僕のような状況の事を言うのだろう。人生最悪の出来事が降りかかってきた! と凹み散らしていた僕の姿は今や影も形もない。

 何せ、今僕の許には二人の美少女がやって来て、落ち込んでいる僕の話を聞いてくれているんだから! 


「ハラダくーん。まだ夜は長いんだしさ、君もお酒をたのしもーよ。お……私だって久しぶりのお酒を楽しんでるんだからさぁ」


 銀髪翠眼の少女は、グラスを揺らしながら僕に笑う。この娘は梅園六花と名乗っていた。日本人離れした髪と瞳の色だけど、名前や顔立ちからしてきっと日本人なんだろう。言動はボーイッシュそのものなんだけど、胸も腰回りもしっかりしていて色々な意味で女の子らしい。かなり懐っこくて、初対面であるはずの僕にも猫のようにすり寄って来る。夏場という事でラフな出で立ちなので、僕はどぎまぎしちゃうけれど。

 

「六花! ハラダさんのためにって思ってお酒を用意したのに、あなたばっかり飲んでちゃあ駄目じゃない……」


 朗らかに笑う六花ちゃんを嗜めるのはもう一人の少女だった。この娘は宮坂京子と名乗っている。彼女は普通に黒髪黒目の女の子である。まぁもちろん美少女なんだけど。六花ちゃんがちょっとギャルっぽい美少女ならば、この娘はお嬢様っぽい美少女と言った感じだろうか。すらりとした身体つきな所まで好対照だった。

 そんな京子ちゃんは目端の利く娘らしく、部屋のあるじである僕を気遣い、ついでちょくちょくはっちゃけそうになる六花ちゃんのストッパーになろうと奮闘している。多分いい奥さんになるんだろうな。気付けばそんな事を僕は思ってしまっていた。


「大丈夫ですよ、ハラダさん。どうかゆっくりなさってくださいな」


 妙な事を考えていると京子ちゃんと目が合ってしまった。それでも彼女はにっこりと微笑みこんな事を言ってくれる。

 数時間前まで心の中にあったしこりというか傷は、この娘たちのお陰で大分薄らぎ癒えてきた気がする。

 であれば、何故冴えない僕が美少女二人に傅かれる状況に至っているのか。それを語るのが筋であろう。

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