爆乳な生徒会長から結婚前提の公開告白をされた瞬間、なぜか、モテ始めたんだけど、これは一体、なんていう美少女ハーレムなんだ⁉

譲羽唯月

平凡な生活をしている俺は、爆乳な生徒会長から、公開告白された⁉

第1話 モテない高校生活をしていた俺は、なぜか爆乳な生徒会長から公開告白された⁉

 結婚とは何なのか?

 どんな人と結婚するかなんてわからない。

 というか、そもそも、恋人すらいないのに、結婚すらないのだが……。


 朝。自宅リビング内。椅子に座って朝食を食べている阿久津久人あくつ/ひさとは、大きなため息を吐いたのである。


「どうしたの、お兄ちゃん?」


 テーブルの反対側の席に座って共に食事をしているツインテール風の妹――阿久津弥生あくつ/やよいは首を傾げていた。


「いや、なんでもないさ……」

「そう? なんか、暗そうな顔してるね」

「それは色々あったからだよ」


 久人は箸で摘まんだ米を口にしながら、不満そうに言った。


 久人には恋人がいない。

 欲しいと思い、自分なりに考え、部活に入部したり、委員会活動をしたりして、モテるための努力はしたのだ。


 しかし、その行動自体が裏目に出てしまい、ことごとく失敗ばかりになってしまった。

 高校二年生になった今でも、彼女の一人すらも出来ていなかったのである。


「はああ……」


 久人はまた、ため息を吐いてしまう。


「お兄ちゃん、そんなにため息ばかりついていたらね、良いこともどこかに行っちゃうよ」

「そんなもんか?」

「そうだって」


 一つ年下の妹――弥生やよいは、可愛げのある見た目に寄らず、ハッキリとした口調で言ってくるのである。


 兄なのに、妹の方がしっかり者とか、本当に情けないと、久人ひさとは日々思っているのだった。


 というか、いつになったら、結婚前提の彼女ができるんだろ……。

 久人はそんなことを思いながら、妹との朝食を続けたのである。






「おはよう! 久人‼」


 朝食を終え、登校の準備をしたのち、自宅を後にしていた。妹と一緒に学校に向かっていると、通学路で、ふと、声を掛けられる。


 背後を振り返ると、そこにはショートヘアが特徴的な一人の女の子が佇んでいたのだ。

 彼女は昔からの腐れ縁というか、幼馴染の早坂汐里はやさか/しおり


「ねえ、一緒に行こ。弥生ちゃんもおはよ」

「おはよー」


 妹もそれなりに挨拶を交わしていた。

 久人は、二人の女の子に挟まれた状態で、学校に登校することになったのである。


「ねえ、久人って、今どこかに所属している? 部活とか、委員会とか?」


 幼馴染からの問いかけ。


「いや、特にどこにも」

「そうなの? 部活は?」

「やめたよ」

「そうなの?」

「ああ、下手くそすぎてさ。それに、どうしても上達しないし。むしろ、同期の部員からもさ。やめてくれって言われて」

「……同期って? あれ? 今年からまた新しい部活に入部していたよね?」

「ああ。同期ってのは、一年生の女子生徒からだよ。なんか、態度が偉そうでさ。その後輩から、”先輩は、その程度のこともできないんですか?” って言われて、最終的には掃除担当になって。そのまま流れでやめる感じになったんだ」

「へ、ええ……なんか、ダサいね」

「は?」

「んん、なんでもないよ。なんでもね。それよりさ、どこにも所属していないならさ。私のところに来ない? 私の部活ね、あまり人がいないし。どうかなって」


 右側の方を歩いている幼馴染は、久人の腕に抱きついてくるのだ。

 しかも、豊満な胸が強く押し当てられたのだ。


 こ、これは……⁉


 久人はドキッとした。

 昔よりも幼馴染のおっぱいは程よく成長している。


 これは……上出来すぎる……。


「ねえ、良いでしょ?」

「え、っと……」


 久人は彼女から上目遣いで見られ、どぎまぎしていたのだ。


「お兄ちゃん? 鼻の下伸びてますからね」

「ん⁉ そ、それは……、弥生の見間違いだろ」


 久人は焦った感じに言い、その場を乗り越えることにしたのだ。


「もしかして、入部してくれる? 入部してくれるなら――」


 と、幼馴染は久人の耳元で、息を吹きかけるように、こっそりと話したのである。

 その言葉に、朝っぱらから変に意識してしまうのだ。


「まあ、いいや。あとで決めておいて、今週中でもいいからさ。あっ、やっぱり、私私やることあったわ。じゃ、後でね、久人‼」


 汐里は、腕から離れるなり、また後でねと笑みを見せながら言い、一足先に走って学校へと向かって言ったのだ。


「な、なんだったんだ……」


 おっぱいを押し当ててくる幼馴染だが、彼女とは恋人同士ではない。

 単なる友達なのである。

 だがしかし、この頃、色っぽくなったような気がしてならなかった。


「ねえ、お兄ちゃん? 好きなんでしょ?」

「ち、違うから……そ、そんなんじゃないよ。汐里とは、ただの幼馴染なんだよ。べ、別に、彼女にしたいわけじゃないし……」


 そうだ、幼馴染じゃない。

 汐里しおりとは、今までの関係でいいと思っている。


 本当の彼女にするなら、やはり、爆乳な女の子がいい。

 久人はニヤニヤしながら、そんな妄想を重ねていたのだ。


 そんな姿を、左側を歩いている妹が、少々引き気味な視線で見ていたのだった。






 今日は、一か月に一度の全校集会の時である。

 その代わりに、朝のHRはないのだ。


 久人はクラスごとに並んでいた。

 周りを見渡すと、他の学年の姿が見えるほどの距離である。

 視線を前へと向けると、体育館の壇上がある感じだ。

 まだ、壇上には誰も立っていない。


 刹那――


「あくつー」


 聞き覚えのある声が聞こえた。


「な、なんですか、先輩」

「ちょっとさ、全校集会が始まるまでちょっと話したいことがあってさ。いいか?」


 彼女は一個上の先輩――大段東海おおだん/あずみだった。


「はい」


 ポニーテイルな髪型の東海あずみ先輩に誘われ、少しの間、列から抜け出し、体育館の端に移動することになった。


「いきなりで悪いんだけどさ。あくつはもう一度部活に戻ってくる気はないか?」

「部活ですか……?」

「ああ。ちょっとな、戻ってきてほしいっていうかさ」


 先輩は視線を軽くそらしながら言う。


「でも、あの後輩がいますよね?」

「ああ、あいつならさ。私がシメておいたから、大人しくなってると思うよ」

「え?」


 久人は色々な意味でドキッとした。


「まあ、いいや。あとで決めておいて。今週中でもいいからさ。というか、そろそろ、全校集会が始まる頃合いだな。じゃあ、後で」


 と、元部活の先輩は言い、元の定位置に戻っていく。

 久人も元居た場所へと戻り、列に並びなおすのだった。



『では、今から全校集会を始めます。生徒会長どうぞ』


 生徒会役員関係者の人がアナウンスするなり、大人びた感じの生徒会長が、壇上に上がるのだ。


 ロングヘアの高貴な感じの生徒会長は、爆乳である。


 見た目なエッチな容姿からは想像できないほどに、しっかり者で、不埒なことを一切許さない感じの真面目さを兼ね備えているのだ。


 爆乳というステータスを持ち合わせているため、何も恐れるものはないだろう。

 ただ、疑問なのは、モテるのに、彼氏がないということだ。


 なぜだろうか?

 久人は皆同様に、壇上にいる生徒会長の方を見ていた。


 そして――


『今日から七月だが……一先ず、話したいことがある』


 マイクを手に生徒会長が口を開くと、辺りが騒めく。

 何か真剣なことを伝えようとしている雰囲気があるが、どういった内容なのだろうか?


 何かと思い、皆、その視線を壇上へと向け始めていた。


『二年、阿久津久人。君と、結婚前提で付き合いたい。だから、君の返事を聞きたいんだけど――』


 生徒会長はありえない発言をしたのである。

 久人は度肝を抜かれた感じになり、硬直した。


 皆の視線が久人に集まっている。

 どんな返答の仕方をすればいいのだろうか?


 久人はただただ、気まずい全校集会の時間を過ごすこととなったのだ。

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