第5話 不香の花

風に舞い、私の手元に触れた雪。

不香の花は、私の温度で水になる。

繋いだ手を握り直して指を絡めると、慌てて顔を逸らす貴女の赤い耳。

食べてしまいたいと思っていると、不香の花がそこに落ちた。

溶けた瞬間、香気が満ちる。

雪ではなく、これは私の大事な花香。

私の手で咲く貴女の香りに酔っていたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る