ハーレム

連喜

第1話 日本のハーレム

 ハーレム設定。ラノベの鉄板ネタだ。かわいい女の子の集団に男一人。現実的にはあり得ないけど、男の夢。


 俺もプレイボーイ・マンションみたいなのがあれば住んでみたい。皆さんはプレイボーイ・マンションを知っているだろうか?"プレイボーイ誌"の創刊者ヒュー・ヘフナーの邸宅で、妻や愛人たちを住ませていた場所だ。雑誌に出るモデルたちも住ませていた。その子たちとヘフナーに肉体関係があったのかはわからないけど、新しい子がどんどん入って来る環境。単純にいいなぁと思う。美女は消費される。特に自分を金で売るような女は。


 俺はアジア系だし相手にされないだろうか・・・そう考えると、やっぱり足がすくんでしまう。


 もっと現実に近い設定を考えてみると、女子校の男の先生なんかも、若ければ誰でもモテるらしい・・・と、女子校に通ってた女性が言っていた。

 でも、そういう状況がうらやましいかどうかは微妙だ。彼女たちが社会に出たら、現実を知って”なぜ先生を好きだったのかわからない”、となるからだ。


 俺は若い頃、よく女性から『結婚して』と逆プロポーズをされていた。その時、俺はこう答えていた。「もし、俺と結婚したいなら、浮気を許してくれないと無理だよ。奥さんと恋人と三人で同居したい」

 本気で思っていたわけじゃない。断る口実だった。


 でも、時々「そういう暮らしも楽しそう」と言われることがあった。俺は身寄りがないから、結婚という制度に関心がない女性たちを集めて、シェアハウスをやろうかと思うこともある。俺が夫役を一人で担う。自宅を売ってローンを組み、シェアハウスを作る。女性たちには家賃を負担してもらう。建築費を回収できるのはいつになるかわからないけど、取り敢えず、俺の快楽のために経営する。俺はそこに寮夫として常駐。一応、女たちには個室を与えて、毎晩、好きな女の部屋に泊まる。

 しかし、仮にこういうのをやれるだけの経済的余裕があったとしても、実際の運営は難しいと思う。


 まず、女性同士がいがみ合う。アイドルグループみたいに、女の間で競争が繰り広げられて、唯一の雄である俺を取り合う。


 それに、世間体を考えるとできない。近所から好奇の目で見られること請け合いだからだ。宗教団体の施設のように見えるかもしれない。俺は教祖。


 こんな風に現実的に考えると、俺のハーレム妄想は儚くしぼんでしまう。


 しかし、俺の知り合いの知り合いで、こういうのを実際にやった人がいた。名前はAさん。マンションを一棟所有していて、空室を愛人たちに貸していた。マンション一棟所有するんだったら、住所によって値段は変わるけど、Aさんの所は8階建てで10億くらいしたみたいだ。


 都内で家賃、光熱費はタダ。いい条件だと思う人もいるかもしれない。だから、お金のないかわいい子が沢山住んでいたらしい。Aさんは居酒屋チェーンを経営していて、若い女の子がどんどん入って来る。経済的に苦しい子は、Aさんのマンションに住むようになる。Aさん自身もかわいい子、タイプの子にしか声をかけないから、一定の水準が維持されている。

 

 Aさんは最初は紳士的だ。生活が苦しい子に対して、親身になって相談に乗ってやる。そうやって彼女たちの信頼を得て、肉体関係を迫る。


 女の子たちは断ると、引越さないといけないし、バイトのシフトも優遇してもらえないから、みな承諾する。Aさんは大人しい子が抵抗すると、無理やりやってしまう。そういう子は騒がないと経験から知っていたからだ。


 本妻には愛想をつかされて離婚していたから、彼は独身。何の問題もない。


 俺はこの話を会社の人から聞いて、素直に『いいなぁ』と思っていた。

 若い子が常に供給される環境。支配できる構造。本当に上手くできている。家賃を取っていないから、マンション経営としては失敗だろうと思う。それでも、手っ取り早く確実にハーレムを作れる。20代前半の若い子ばっかりのハーレムなんて、なかなかないと思う。

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