【絵本】インサイドイレイザーヘッド。

 この子の頭の中では、記憶を消す消しゴムを持った天使と、記憶を書き換える鬼が陣地争いを常に繰り広げています。


 そして時に、心にもやってきて、描いたり消したり。


 それはこの子の為に、鬼も天使も描いたり消したり。


 嫌な思い出を消したり、良い思い出を描いたり。


 描いたり消したり。

 毎日、毎時間、毎分、毎秒。

 描いたり消したり、2人はいつも、描いたり消したり。


 描く事が良いと思っている鬼は、頭や心に、良い景色も嫌な記憶も描き残します。

 消す事が良いと思っている天使は、心や頭に残る、良い景色も嫌な記憶も消していきます。


 2人とも、本当は嫌な事だけを消したり描いたりしたいのだけれど。

 どうしても不器用なので、良い記憶や良い景色を消してしまったり、悪い景色も描いてしまったりします。


 いつもいつも泣きながら、消して、描いて、消して、描いて。


 だからこの子も急に悲しくて泣きだしたり、鬼と天使につられて怒ったりしてしまいます。

 だから天使は恥ずかしくて記憶を消して、鬼は悔しいから描き残します。


 毎秒、毎分、毎時間、毎日。


 2人が仲良くなれるお薬が出来るまで、不器用な2人は、描いたり消したり。

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