第18話 姫の回復と婚約

 「ペルーサ。ホントにありがとう」


 大号泣の国王。


 「いえ、まだ呪いを解けたわけじゃありませんから。必ずデーモンは倒します」




 「そうだカノン! もう古代文字を研究するのはやめなさい」


 「え? どうしてですか?お父様」




 国王はデーモンは古代魔法を恐れている。それで古代文字を読めるカノン様が狙われたと話した。




 「そうですか……だからデーモンは私に呪いを……でも、だったらもっと古代文字を研究しないとダメですね」


 「カノン様?」


 「デーモンを倒すことができる古代魔法を復活させられるのは私だけかもしれません。デーモンを倒さないと人々はデーモンに怯えた日々を過ごし続けることになるわ」


 「カノン……立派になりおって」


 「ペルーサ」


 「は、はい」


 「私が必ず古代魔法を復活させます! その時はペルーサがデーモンを倒してくださいね」


 「……はい。必ず」




 「カ、カノン様? 私だってデーモン倒しますよ?」


 「ふふっ、そうですね。グリンダもお願いします」


 「カノン様! 私だって!」


 「オリビア、あんたのレベルじゃ無理よ。引っ込んでなさい」


 「くっ……」


 グリンダさん……今はそんなこと言わなくていいのに……




 ◇




 「じゃあ僕たちはそろそろ失礼しますね」


 「はい……あ、ペルーサだけ少し残ってもらっていいですか?」


  (?)




 みんな退室し、僕とカノン様とミネットだけが残る。




 「ペルーサ。改めて本当にありがとうございました」


 カノン様が深々と頭を下げる。




 「そ、そんな! やめてくださいカノン様!」


「1人ずっと暗闇の中にいました。ずっと不安でした。それをあなたが治してくれました」


 「いえ……それにまだ治せたわけじゃ……」


 「ふふ、ミネットの視界も悪くないですよ? 初めてあなたの顔を見ましたが……なんか緊張しちゃいますね」


 「はは……すみません。もっとイケメンな魔法使いだったらドラマチックな展開だったんでしょうが……」


 「いえ、素敵なお顔だと思いますよ? それでペルーサ。1つお願いがあります」


「はい。なんでしょうか?」


「デーモンを倒して私の呪いが解けたその時は……私と結婚してください」


 「え、えぇっ!? 結婚!?」


 急な言葉に動揺する僕。。




 「はい! 私が結婚するならあなたしかいません」


 「そんな……ええと……その……」


 (僕がカノン様と結婚? え? 僕王様に? え? どうしよう……)




 「ふふ、困らせてしまってすみません。ひとまず考えておいてくださいね」


 「は、はい……」


 「今はダンジョンから帰ったばっかりです。体をしっかり休めてください。落ち着いたらここへ遊びに来てくださいね」


 「はい。カノン様も慣れない視界共有をしてるんですから無理なさらないでくださいね」


 「ありがとうござます。あとこれは私の目を治してくれたお礼です」


 カノン様は僕の頬にキスをした。


 「!!!」


急なサプライズに頭が真っ白になる僕。


 「結婚の件、考えておいてくださいね」


 「は、はあ」




 なんとも情けない返事をして僕は部屋を出る。


 もしかして、すごく失礼なことをしてしまったか? でもなんて返事をすれば……


 いつになっても僕の内気な性格は変わらないようだ。







 「遅かったなペルーサ」


 オリビアさんとグリンダさんが外で待っていてくれた。


 「なんの話だ?」


 「いや、その……大した話じゃないですよ! さあ! 部屋に戻りましょう」


 「……? やけにテンション高い。あやしいな?」


 「なんの話かしら? あっ! もしかしてペルーサ君、目を治したお礼にカノン様のオッパイでも揉ませてもらったとか?」


 「!!!!」


 なんてことをいうんだこの人は……さっきまでのカノン様への忠誠心はなんだったのか……


 「グリンダ! 姫様に失礼なことを言うな!」


 怒るオリビアさん。不思議なものでグリンダさんを見てるとオリビアさんが真人間に見えてくる。


 「あらごめんなさいね。それにカノン様の小ぶりな胸じゃペルーサ君は満足できないわよね?」


 「え?」


 「私からお礼させてもらうわ。早くあなたの部屋に行きましょう」


 「貴様!! ペルーサに何を言っている!」


 「何よ! あんたには関係ないでしょ!」


 「関係ある! ペルーサの部屋は私の部屋でもある!」


 「え……? もしかしてオリビアとペルーサ君って……」


 「あーーもう!!」


 僕は今の客室が広く、訓練場もあるためオリビアさんが居候している説明をした。




 「なるほど。そういうことね。でもオリビア、あんたが年下の男が好きだなんて知らなかったわ」


 「違う! 訓練場があ―――」


 「まあいいわ。なんか楽しそうね……よし!今日から私もペルーサ君のお部屋に住むわ!」


 「えぇぇ!?」


 「やめろ! お前みたいな変態ババアと一緒に住んだらペルーサが汚れる!」


 「なによ! あんたの部屋じゃないでしょ! 私はペルーサ君に魔法を教えてもらうのよ! 私たちは師弟関係! いいわよねペルーサ君?」


 体を巻き付けて僕に抱きつきお願いしてくるグリンダさん。いきなり弟子ができてしまったようだ。




 「は、はあ……」


 「ペルーサ……なんて情けない顔だ。こんなエロババアに誘惑されて……見損なったぞ!」 


 「そ、そんな誘惑だなんて……」




 僕、オリビアさん、グリンダさんの共同生活が始まろうとしていた。


 カノン様と婚約したばかりだっていうにいいんだろうか……?

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