料理人と狐っ娘、心温まる料理が繋いだ2人の縁とその未来は

『こころのチキンスープ』ご存知でしょうか?
 私が小さい頃に大好きだった本です。今作はそのファンタジー版と言っても良いかもしれない、それくらい読んだ後に温かい料理をこちらまでいただいたような、優しくてほっこりとした気持ちに包まれる名作です。

 戦乱の大陸の中、革命軍の拠点となる砦に身を寄せる料理人のダズリーはある日行き倒れている銀色の狐耳の女の子を拾う。
 言葉が少したどたどしい感じのあるその子はどうやら訳ありのようで……。

 距離を少しずつ測りながら、縮めながら、懐いていく狐っ娘ヒナと、彼女のころころ変わる表情にだんだん絆されていっているようなダズさん。
 この2人の関係が可愛くてたまりません……!!
 もちろん他のキャラクターも、作り込まれたその世界観も素敵で、ひとつひとつ掘り下げたくなるほど。

 魔法を扱い、料理をしていく描写も思わず涎が出そうなほど。本当お腹が空きますよ♪

 誰もが何かしらの喪失を抱えた場所で、出逢った彼らが紡いでいくものは何なのか。
 誰かの為に何かをしたいとき、それは大きなことじゃなくてもいい。ほんの少しの思いやりとささやかな優しさが広まったとき、ぐんと心は癒され近づいていくもの。
 そう改めて教えてもらえるような作品です。

 ゆっくりとその未来を見つめて応援したくなる、こちらの心まで温まるそんな物語。大人から子供まで、癒やされること間違いなし。
 ぜひともご一読を。

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