君なしではいられない!

aoiaoi

ルリとタカヤ

「ルリ、今度はどこに触ってほしい?」

「タカヤってほんとエロいよね、そんなこと女子に言わせるなんて」

「だってルリ、嫌なところに触るといつもむちゃくちゃに怒るじゃんか」

「もう、あたしの好きなとこくらい知り尽くしてるくせに……毎日朝から晩まであたしの身体散々弄り回してるんだから。めっちゃ匂い嗅ぐし。ヘンタイだよねー」

「うっうるさい!」

「言葉にしなくても、あたしの顔見ればわかるでしょ? どこに触って欲しいか、当ててみて」

「……じゃ、ここ?」

「いやっ……いきなり一番敏感なとこ触るとか、最悪!」

「ねえルリ、もっと素直になってよ。俺、君といる時は何気にいっぱいいっぱいなんだからさ」

「育ち盛りの男子大学生の気持ちなんて、だいたいみんな同じようなもんじゃない。女の子の胸とお尻でいっぱい。

 それに……もしタカヤの脳みその中身全部覗けちゃったら、逆に怖い」

「怖いって?」

「……」

「あーーヤバい、あと1分しかないじゃん!」

「……ごめんね、タカヤ」

「え、何?」

「じゃ、また来週」


「……ルリ」

「にゃあ」


「なあ……なんで、毎週土曜日の夜11時50分から10分だけしか、君に会えないんだ?

 ってか、どうしてルリは突然、毎週10分間だけ猫から女子の姿に変身するようになったの?」 

「ゴロゴロ……」

「実家にいた頃は、変身なんてしなかったじゃんか?

 この春に大学に入って、君を連れてこのアパートで一人暮らし始めてから、急にだよな?

 甘えん坊な飼い猫だった君が、急にめちゃくちゃ可愛い女子に変身するようになっちまうなんて……最初は何が何だか分からなかった。信じられなかったよ。

 でも、どうやら事実らしい。もう2ヶ月間も土曜の夜に決まってこの現象が起これば、何が何だか分からなくたって認めなきゃならない」

「んな〜」

「……膝に来たいのか? じゃ、おいで。

 腰の辺り、撫でられるの好きだろ?」 

「ゴロゴロ、ゴロゴロ」

「なあ、ルリ。君は、猫なのか? それとも人間の女の子なの?

 高1の夏の雨の日、君は草むらでずぶ濡れになって鳴いてたよな。ちっちゃくて、目が綺麗な瑠璃色で。白い毛が茶色く汚れた君をほっとけなくて。全部俺が世話するからって母さんに頼み込んだあの日のこと、よく覚えてる。

 それが、ある日いきなり綺麗な女の子になるなんて、思うわけないじゃんか?

 女子になってる君に何を聞いても、悲しい顔をするばかりで何も答えてくれないだろ。いくら聞いても君を苦しめるだけなんだと思って、もういろいろ質問するのは諦めたけど……」

「にゃあ。はむっ」

「おい、指甘噛みダメだって。くすぐったいよ。

 ルリ。俺のこの気持ちは、どうしたらいい?

 土曜の夜に10分だけ、可愛すぎる君にぴったり抱きつかれておねだりされる俺の身にもなってほしいんだけど?」

「ゴロゴロ……」


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