赦さないのは赦せないものがいるから。本当に赦されるべきものは?

 この物語の主の人物たちは「赦さない人」を抱えています。でも、本当は分かっているのです。すぐに赦すこともできるのです。そして赦そうとします。でも、いざ赦そうとしたとき、心の奥底にいる「赦せない人」が目を覚まします。

 この物語の多くの人物の心にはこの「赦せない人」がいるのです。

「赦せない人」が心を支配したとき、再び「赦さない」という思いで赦そうとする相手を攻撃し、後悔し、苦しみます。「赦せない人」がいるから「赦さない」。負の輪廻は永延と続きます。

 その苦しみのなか、やがて一人一人が気づいていきます。「赦せない人」の正体を。その人を許さない限り、前には進めないことを。

 赦すべき人。それは「自分」

 「何もできなかった自分」、「知ろうとしなかった自分」、「無能だと思う自分」、「傷つけてしまった自分」、「守ろうとしなかった自分」、「思いを伝えられない自分」

 その自分を赦したとき、全ては動き出していきます。

 これは、心の中の自分と向き合い、人と人との繋がりの中で、本当に「赦し」を受けるべき人に気づくまでを描いた心に響く物語です。

 是非、お楽しみください。

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