第5話兄貴!!!

「やっと東門に着いた!ここは始まりの街だからかやたらと広いなー。」


初心者の森に行くには西門から出る必要がある。

東西に門があり西門が初心者のレベリングにいいらしい。


レベリングをちょっとだけと[錬金]の材料集めだな!僕の鑑定が唸るよ!


「まず集めるものを調べとかないとだな。」


こういう場合はレベルの低いやつから作ったらいいのかな?


「えーとっ、ふむふむ1番低いアイテムは練習ポーションっていうのか。初心者ポーションよりランクが下なのか、レベル上げに特化したポーションなのかな?」


{練習ポーション}

薬々リーフ×1

水×適量



いやいや、水適量ってわからないから、ゲーム内の適量はどのくらいなんだよ。


こういうのは気にしたら負けなのかな…。

頑張ろう…。








「おっ、こっちにもある!あ、あそこにも!いやー、薬々リーフがいっぱいだなぁ。

これであとは水があれば練習ポーションが作れる!」


水。水があるところといえば、川とかかな。街中で噴水は見たけどあれは使っちゃダメらしいし。





「ん?なんか聞こえる気がする…水か?!」


おお!ついに練習ポーションが作れる!

記念すべき第1本目はカズにあげるか。

色々教えてくれたし。



川だー、綺麗だなー。

…水ってどうやって取るんだろう。

あれ?僕つんだ?ここまできたのに?え?え?え?



「おーい、嬢ちゃん何してるんだー?」


「ひぇっ、だ、だれ?ですか。」


「ん?俺はドルってもんだ。川に水を汲みにきた。嬢ちゃんも生産のためか?」


「は、はい。でも水の汲み方がわからなくて。町で桶でも調達しようかなと思っていたところなんです。

あと僕はれっきとした男です!」


僕ほど男らしい男に嬢ちゃんとは、失礼な人だ!


「は?男、なのか?まぁ、それはいい。えと、水汲み用の桶だったか。それならこれやるよ。メイドイン俺の初心者の桶。」


「ふへ?いいんですか?頂いても。」 


「おう!何個でもやるぜ。[木工]のレベリングに大量生産したものだしな。」


「ありがとうございます!助かりました。」 


「おう!そーいや嬢ちゃ、じゃなくてえーっと」


「あ、僕はケイっていいます。」


「ケイか、わかった。ちなみにケイは何の生産スキルをとったんだ?」


「[錬金]ってやつです!」


「ん?空耳か?もう一回聞いてもいいか?」


「[錬金]です!!!」


「うわー空耳じゃなかったー!ケイ、お前初心者か?」


「はい!このゲームが初めてのゲームです!」


「あーそれなら仕方ないんかなー。ケイ、心を強く持って聞けよ。」


え、僕なにかやらかしちゃってる?


「[錬金]ってのはなMG内で1番の死にスキルだ。」


な、なんだってーーー?!、、、




「死にスキルってなんですか?」


即死するスキル、みたいなことかな?


「ありゃ、そこまでの初心者だったのか。あのな死にスキルっていうのはな、要は使えねぇーなってみんなが思うスキルのことだよ。」


「………そ、そんなぁ…。」


死にスキル、そんなおそろしいものだったのか…


「な、泣くなケイ。」


「うん、ドルさん。」


「β版の時[錬金]が死にスキルって言われてた理由はな、成功率がクソ、レベリングがマゾいの2つだ。それにレベリングができたとしても殆どが雑貨屋で買えるものだからプレイヤーから買う理由がないせいで儲からねぇ。」


「思っていた以上にひどいですね。」


いや、でものんびり行こうかなと思ってる僕にはぴったりなんじゃないか?


「大丈夫、ドルさん、僕もうちょっと頑張ってみるよ!」


「本当に大丈夫か?心が折れたらいつでも言えよ。俺が[木工]教えてやるから。」


「はい、ありがとうございます!」


ドルさんなんていい人なんだ。この人こそ兄貴って感じだな。


「よし、じゃあフレンドコード交換しようぜ!これなら遠くにいても連絡を取れるからな。」


「はい!よろしくお願いします。」


そういや、カズと交換し忘れてたな…

まぁ、カズだしいっか。


「うわぁー、僕のフレンド欄に人の名前がついに!」


「そんだけ喜ばれても木製武器しか出せないぞ!」


「もう武器作れるんですか?!すごい。」


[木工]だと武器も作れるんだな。いつかとって自分の杖とか作りたいなー。


「おう、俺はこう見えても元βテスターだからな!ケイの武器はみたところ杖か、杖ならすぐ作ってやれるぜ!」


「本当ですか?!あ、でもさっき始めたところでお金が…。」


「フレンドになった記念で作ってやるよ!

代わりに[錬金]で成功したら1つ記念にくれるか?」


「もちろんです!頑張りますね!」


あ、そうだあのことも聞いておいたほうがいいかも。


「ドルさん、ステータスの振り方も教えてくれませんか?」


「お?いいぞ。まぁケイは杖だろうからintに振ればいい、これで魔法攻撃力が上がるからな。あとはvitに振れば耐久が上がるしagiに振れば速さが上がるぞ。」


「ふむふむ。じゃあintとちょっとだけvitにしよと。」


「あっーとまった。ケイの生産スキル[錬金]ならdexで成功率がほんのちょーーーっとだけ上がるらしい。ちなみにdexで攻撃力なんかが上がるのは弓だ。」


「えぇー!弓なんですか?!」


「あぁ、うーんどうしたものかな。ケイは生産よりのプレイみたいだし。」


うーん、魔法を打つのは杖じゃないとだし、杖だと生産以外にdexの旨味がないからなー。


「あの、魔法って杖以外じゃ打てないんですか?」


「あーー!その手があったか!天才だ、ケイ!」


「えへへ、天才なんて照れます。」


「まぁ照れてれるケイは置いておいて。」


「ひ、ひどい扱いだ!」


結構な時間立ち話をしているとすぐ打ち解けられるな。人見知りが治って来たのかも!


「メジャーではないが実は杖以外でも魔法が撃てるんだ。でも撃つというよりかは付与させているような感じだな。」


な、なんだって!じゃあ弓でもいけるのか!!


「ケイは[杖術]を持ってるんだよな?」


「いえ、持ってないです。」


「は?持ってねぇーのかよ!じゃあすぐ解決だな!」


なんかわからないけど俺の知らないところで解決しているらしい。


「ケイ、町に着いたら冒険者ギルドの講習で武器スキルが1つもらえるからそれで[弓術]をとったらいい。弓は基本木製だから俺が良いのを作ってやるよ!」


「ありがとうございます!」


こんなしょっぱなでいい武器が手に入るなんて僕は運がいいなー。


「弓は弓でも特別製の魔導弓だ!それじゃないと魔法を使えないしな。木製弓に魔石をはめるだけだからすぐにできる。」


「わ、わ、なんかかっこいいー。魔導弓かー。ふふふっ!」


どんな弓なんだろう、もう楽しみすぎて飛び過ぎちゃうよ!!


「よしよし、だいたいイメージはできてるんだ。俺はイメージ忘れないうちに作りたいしもう町に戻るけどケイはどうする?」


「あ、僕ももうそろそろ戻ります!そういえば初心者の森ってモンスターがいないんですか?全くいなくて…。」


うさぎ1匹見ないなんて、出鼻をくじかれた感じだなー。


「ぶっ、ハハハッ!そりゃあ、ここはまだ初心者の森の手前にあるセーフティーゾーンだからだよ。」


セーフティーゾーン、セーフティー、、、、

セーフ、安全???、安全?!いないわけだ!採取は始まってても僕の冒険は始まってなかったのか…


「そ、そんなー。またこんど挑戦してみます…。」


「そうしとけ、また俺がレベリングに付き合ってやるよ。」


やっぱりドルさんはいい人だ!いやドル兄貴!!


「ありがとうドル兄貴!!」


「あ、兄貴?!兄貴はやめてくれよケイ。」


「えぇー、似合うのに。じゃあドルにぃとか?いいですか??」


「ん、おう。いいぞ、好きなだけ呼んでくれ!」 


「えへへ、ドルにぃ、ドルにぃ!僕一人っ子だったのでなんか嬉しいです!」 


「そ、そうか…。とりあえず町に戻るぞ。」


「はーい!」




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