27 水鉄砲

 次の日、約束通りアウリオンは子供達と水鉄砲で遊ぶことにした。

 あの、最初に会った日に彼らが持っていた大きな水鉄砲だ。

 大きなといってもアウリオンが持つとそれほどバランスは悪くない。


「にーちゃん、おれらがこどもだからって、てかげんなしだからな」

「ほんきであそぶんだよ」


 本気で遊ぶとは子供らしい考えだなとアウリオンは笑ってうなずいた。


「よーし、いったいさんだぞー」

「リオンおにいちゃん、かくごー」

「かくごー」


 三兄妹が結束して可愛らしい鬨の声をあげている。


「この俺にかなうと思うなよぉ?」


 まるでラスボスのように芝居がかった声で言ってやると子供達はきゃっきゃと大喜びだ。


 戦闘開始。


 子供達はアウリオンに向けて一斉に射撃してくる。

 だが狙いが素直すぎる。

 アウリオンはやすやすと子供達の銃撃を避けて反撃する。

 まずは長兄のコウタ、次にソウタ、最後に水圧を抑えてナミにあてる。


「つよーい」

「にーちゃんマジほんきだなっ。おとなげないぞっ」

「手加減なしっていったのはそっちだぞ」


 笑って返すと子供達も笑う。


 もう一戦、と子供達が挑んでくるが本当の戦闘で戦いの勘を培ったアウリオンにはかなわない。


「にーちゃんすごいなー」

「これならまたあおのよるがきても、おにいちゃんがまもってくれるよね」


 双子に尊敬の目で見られる。


「おにいちゃん、ずっとナミたちをまもってね」


 止めにナミの可愛らしい笑顔を見て、アウリオンは思わずうなずいていた。


 最近、地球でも頻繁に蒼の夜が発生する。

 災厄の元であるエルミナーラの魔物をどうにかするのが解決の一番の近道であることは確かだ。

 だが、解決までに時間がかかるのなら、その間にこの近くで発生する蒼の夜を解決するのが今の自分の役割ではないか。

 そう考えることもできる。


 できるならそうしたい。


 この子達だけでなく、周りの大人達にも自分が異世界人であると明かしても、受け入れてくれるなら地球に残って戦いたい。


 アウリオンの中で今後どうしたいのかは固まった。

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