視える人、聞こえる人

 人には第六感が備わっている人がいるらしいが、何が備わっているかは千差万別だ。視える人、聞こえる人、どちらとも備わっている人。

私は所謂視える人で、実体のないものがそこにあるように感じる。対するA子は聞こえる人で耳がいい。


「最近私に守護霊が憑いたの」


 嬉しそうにそう呟いたA子曰く、鈴を転がすような声で気づきを与えてくれるらしい。なんでも高僧のいる寺を訪れたらしく、その時から声が聞こえるらしい。


「あ、ほら……今も」


 耳をそばだたせるA子。しかし、私には全身の皮を剥がされ、熟れたザクロのような毒々しい赤い人形ひとがたがA子のそばに張り付いているように見える。

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