第36話

 さて、桜木楓と話し合う日程を決めたところで、さっさと家に帰りましょう。あんまり遅いと兄さんがまた勝手に家事をしてしまう可能性もありますから。


 それだけは阻止しなければなりませんから。


 それと、家に帰ったら改めて確認しなければならないこともありますからね。


 はぁ、もうすぐ夏休みですね。


 暑いです。


 勝手に体が火照ってしまいます。まぁ、この火照りも兄さんの前では別のものになってしまうのですけれど。


 そんなことより早く帰らなければなりませんね。


 全力で走って、家に着きうがいと手洗いをしてからキッチンに立つ。


 今日は昨日から仕込みをしておいた特性の唐揚げです。兄さんには沢山がお肉に染みたものを食べてもらいます。


 きっと美味しいと言って食べてくれるに違いありません。


 私は真心とほんのちょっぴり邪な感情を持ちながらも料理を作ります。


 しょうがないじゃないですか。女の子だって邪な感情位持ちますしその気持ちを知られたい、でも知って欲しいという感情もある複雑な生き物なのです。


 ですが、兄さんにはやはり清楚な私だけを見ていて欲しいという願望の方が強いですけれど。


 もし、この未来図がうまくいき、そして兄さんから寵愛を授かったときは私は果てしない程の快楽、幸福に包まれ絶頂してしまい、はしたない私を見せてしまうのでしょうか。それとも辛抱強く耐えるのでしょうか。


『花蓮、大好きだよ』


 っ!?びくびくびくっと震えてしまい足がガクガクと震えてしまいますがなんとか耐える。


 妄想でここまでの影響が出ている時点で、耐えることはほぼ無理に近いでしょうね。


 そう仮定して、その先を想像しようとしてやめる。


 それ以上は、現実で。お楽しみの時に。


 今は、夕飯を作らなければ。


 せっせと唐揚げを揚げて、野菜を適当に切り兄さん専用の野菜ドレッシングを振りかけ、あとは適当に煮込んでおいたスープを盛り付けて食卓へ。


 丁度兄さんも自分の部屋からリビングへと来たタイミングだったので良かったです。


「今日は唐揚げか。凄く美味しそう。いつもありがとね」

「いえ、私がしたいと思っているだけですから」


 その言葉だけで私は救われ、アソコが疼いてしまいますが我慢です。私は淑女ですから。


「それじゃあ席に着いていただきましょうか」

「うん。それでは」

「「いただきます」」


 兄さんはさっそく私の愛情たっぷりの唐揚げを食べて「美味しい」とそう笑顔で言ってくれます。ほら、兄さんは私の欲しい言葉をくれます。


 そんなに私のことを欲しているんですね?


 あと少し待っていてください。


「あ、それと兄さん。聞きたいことが」

「なに?」

「あの、球技大会のなんでもしてあげるって約束。あれって期限も何もありませんよね?なんでもしてくれるんですよね?」

「う、うん。期限もないし。なんでもしてあげるよ」

「本当に何でも、ですね?」

「うん。なんでもだよ」

「そうですか。それなら良かったです」


 私はそう笑顔で頷いた。

 

 

 

 






  

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る