第14話 夕顔花蓮って言います。

 今日も、帰り一緒に帰れるのかな?


 授業が今日も終わり、いつも通りに学校を出て少ししたところで夕顔君を待つが、いつもの時間になっても彼が来ないので少し不安になっていると、彼から連絡が来る。


『すいません、桜木さん、今日は一緒に帰れません』


 どうしたんだろう。


 何か私、してしまったんだろうか。どうしよう、私、嫌われた......?だ、大丈夫だよね?夕顔君だって、一人で帰りたい時とか、もしくは他の友達と帰りたい時だってあるよね。そうだよ、そうに違いない。


 どうしようもなく、不安が私を駆り立てる。


 他の女......?......そんなわけないよね。私を放って他の女と一緒にいるなんてひどいこと夕顔君がするわけないから。


 大丈夫、私は夕顔君を信じてる。信じてるよ?


 ........................................................。


 とりあえず、夕顔君がどこへ誰と一緒に行くのかだけ見てもいいよね。


 少し経つと、夕顔君と誰だっけ…如月君?が一緒に出てきた。


 や、やっぱり友達と帰るだけだよ。


 ほら、やっぱり夕顔君は私の事を嫌いになるはずないんだ。友達と帰りたかっただけだったんだ。


 ……も、もう少しだけついていっていいよね。


 夕顔君に気づかれないくらいの距離でついていく。


 着いた先はゲームセンターだった。夕顔君とそのお友達が入っていくので私もこっそりついていく。


 夕顔君はクレーンゲームを見回った後に、一つの筐体で止まり、考えた後にお金を入れた。


 考えている夕顔君の顔可愛い。


 豆しばを取る夕顔君も可愛い。


 そして、アームを操作した夕顔君はなんと一回で取れてしまう。


 そして、また考えた後にもう一匹を取り始める。


「ねぇ、あなた」

「……?」


 後ろを振り向くと、帽子を被った少女が私の方を見ている。


「桜木先輩、だよね?」

「そうだけれど」


 先輩ってことは、この子は私の学校の後輩か。


 私に話しかけるってどういうこと?


 その子は夕顔君たちと離れるために一旦ゲームセンターから出る。


「にい…夕顔先輩のことストーカーしてるんですか?」

「っ!!し、してないけれど。あなたこそどうしてここにいるの?あなたこそ夕顔君のストーカーなんじゃないの?」

「ストーカー、ですか」


 そう言ってふふっと嗤う。


「ストーカーではありませんよ。私と夕顔先輩は深い仲、ですから。あなたじゃ到底なれないほどの仲、ですけれど」

「………。面白いこと言うね」

 

 あぁ、こんな顔夕顔君には見られたくないな。


「私は、目的を達成できましたし、帰りますけれど。あなたはまだ続けるんですか?」

「私も、もう帰るし。ストーカーはしてないから。夕顔君を守ってるだけ」

「ふふっ。そうですか。…あ、そういえば」


 立ち去ろうとした足を止め、帽子を取り振り向く。


「私の名前は、夕顔花蓮です。夕顔桜の義妹いもうとです」

「なっ!!」


 あ、あなたが?


 今度は振り返ることなく、去っていった。

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