第7話 本編前の閑話

 この回は、過去の召喚の話の後の会話の話です。

 本編とはあまり関係ありませんが…そうでもないのかな?

 ちょっとした謎が解けるかも知れません。


 ~~~~~過去の異世界召喚の話の後~~~~~


 「んじゃ! 話は終わったので、そろそろ寝るわ…」

 「不知火…良く寝れるわね?」

 「安全な場所で寝る時は寝る。 それは旅において重要な事だぞ!」

 「そうじゃなくてさ、環境が全く違うのに…という意味よ!」

 「慣れだ、慣れ…寝れないのなら、睡眠の魔法でも掛けてやろうか?」

 「私達を眠らせて変な事をしないと保証出来る?」

 「保証はしかねる…」

 「保証しなさいよ! っていうか、学校の時もそうだけど…不知火って結構セクハラ発言多かったわよね?」

 「あぁ…あれか、あれは…ただ単にお前等に話しかけられるのがうっとうしいから、女子だったら言われて引く様な事や嫌がる事を言っていただけだ。 本気ではないから安心しろ!」

 

 俺はそう言うと、ミクはホッとした表情をした。

 

 「あのね、不知火君…」

 「なんだ、マミ?」

 「そのね…何で向こうでは私の事は委員長って呼んでいたのに、この世界では名前で呼ぶ様になったの?」

 「そんな事か…委員長が良いのならそう呼ぶが?」

 「いえ、名前で呼んでくれた方が良いんだけど、何で急に名前で呼ぶ様になったのかなって?」

 「あぁ、その事か…異世界って基本的に名字で人の事は呼ばないんだよ。 名字で呼ばれる時は、位の高い者から紹介される時や…そうだな、海外と同じ様な感覚かな? 海外ではフルネームで呼ばれる事なんてザラだし、名字で呼ばれる事も少ないだろ? お前等も名前を呼ぶ時は気を付けた方が良いぞ、名字と名前を使い分けながら話していると、たまに混乱する奴とかいるからな…」

 「そういうものなんだね。」

 「最初の時の異世界召喚時も、シラヌイ・サクヤです…と自己紹介したら、どちらが名前でどちらが名字ですか?って何度も聞かれたからな。 面倒だったんでサクヤで他の世界も通したけどな。」

 

 異世界では下手にフルネームで呼ばない方が良い事もある。

 まぁ、それ以外にも…魅了魔法や従属魔法の類では、名前で縛られる事とかあるから極力名字は隠した方が良いのだが…これは後で教えておくか。


 「不知火、自分も聞きたいんだが…」

 「何だユウト?」

 「不知火ってたまに…性格が変わるというか、何か不安定な感じがする時があるんだけど?」

 「あまり表面には出さないつもりでいたんだが、やはり無理だったか!」

 「どういう事なんだ?」

 「過去の異世界召喚では、訳が分からない内に見知らぬ世界に飛ばされてから、毎日毎日戦いの日々…幾千幾万との魔物との戦いを繰り広げて来たんだけど、俺は死にたくないから魔物を殺しまくるが…魔物達の断末魔を聞いたりもしていて気が狂いそうになった時が何度かある。 それに、全ての世界で…という訳ではないが、敵の中には人間がいた時もあって止む得ない理由で殺人を犯した時もあった。 魔物なら…そう割り切れるが、人だとそうはいかない。 後は3度目と4度目か…3度目の時は、期間が開いていたから異世界召喚は無いと思って友達作りをして、しばらくしてからまた召喚。 この時は次々とクラスメート達が目の前で殺されたり喰われたりしたところを間近で見ているんだぞ。 極力表には出さない様にしていたが、この頃から少し精神が病んでいたんだよ。」

 「4度目の時はどうだったんだ?」

 「一緒だよ…知り合いや仲の良かった友達が目の前で殺されて行くんだ。 赤の他人なら感情もコントロールは出来るが、知り合いや友達となると全く違う。 俺は4回目の召喚以降は、極力人と関わらない様にしていたんだ。」

 「そうだったのか…」

 「それで僕達の誘いを断っていたんだね?」

 

 マサギが話に加わって来た。

 

 「お前等も薄々勘付いているとは思うが…俺が頑なにお前等と距離を取ろうとしていた意味が解っただろ?」

 「うん、それは何となく…」

 「そうね…」

 「ユウトとマミはまぁ鋭いとして…マサギとミクは解ってないな?」

 「どういう事だい?」

 「私達が解らないって⁉」

 「今迄の異世界召喚は、俺を中心に周りを巻き込んで召喚が起きていた。 そして今回もそれと同じ事が起きた…つまり、お前等は巻き込まれたんだよ。」

 「僕は不知火君がいつも1人で気の毒だと思って…」

 「その余計なお節介にお前達は巻き込まれたんだ。」

 「うん…そうなるんだろうね。」

 「だが、起きてしまった事を悔やんでいても仕方がないから、未来を見よう。 俺は今迄、知り合いや友達を助けられるのに助けられなかった。 だけど、今度はお前達を守ってみせる! それにはお前達の…」


 俺は4人の顔を見ると、目を閉じて言った。


 「この話の続きはまた今度な。 マジで限界で眠くなっているから…」

 

 俺はそう言って自室にいって眠りに就いた。

 結構いらん事をベラベラと喋ってしまったような気がするが…大丈夫か?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る