第19話 運命の選択肢


 ロイズから急に重要な選択を迫られた俺は何も答えることが出来ず無言でその場に立ち尽くしていた。するとロイズが言った。


「まぁ、今すぐ決める必要はないわ。ゆっくり考えなさい」


「は、はい。わかりました」


「転入を認めた事は、転入式でこの私が直接みんなの前で伝えるから安心しなさい」


 そして俺たちは学院長室から退出した。


 あんな今後の人生を左右するような選択を急に迫られてもすぐに答えられるわけない。もしかしてロイズさんは俺たちを試しているのか?最悪の場合退学とか……


 周りの声が全く聞こえなくなるくらい頭の中で考えていた。


「ダイスくん? ダイスくん!」


「あ、あぁ。ごめん」


「とりあえずあの選択をどうするか決めようよ」


 カナはとても落ち着いていた。どうしてこんな状況で落ち着ける?ただ俺が深く考え過ぎてるだけなのか。


「転入式まで後1週間あるからそれまでゆっくり考えよう」


 俺がそう言うとカナは無言でうなづいた。


 その夜俺は選択をする為、それぞれの選択肢のメリット、デメリットを調べ尽くした。


 まず、普通に転入して卒業目指すのは一番無難で安定しているがおそらくロイズさんはこれを求めてはいないだろう。もちろん俺たちがどれを選ぼうとロイズさんに反論される事はないが、なんだかチャンスを無駄にしている気がする。これは最悪の場合だな。


 次に召喚医師としてロイズさんの元で召喚任務を行うだが、召喚任務がよくわからなかった為調べてみた。召喚任務とはこの世界とは違う世界にて任務を行う事らしい。ただまだ安定して召喚任務を行えているわけではなく、向こうの世界から勝手に召喚される医師もいるそう。

 おそらく俺が召喚されたのはこのせいだろう。それに召喚任務を行なった身として感じた事は体力の消耗が大きすぎる。どのくらいの頻度で行うのかはわからないがカナのことも考えるとこれも後回しだな。


 最後は、大学院に転入しロイズさんの父の代わりに病院を開くと言うものだ。おそらくこれが普通すぎず一番いいと考えている。もちろん病院を建てるのにはお金がかかるし免許なども必要だろう。だがどうやらお金は問題なさそう。なぜならこの大学院の補助で病院を開くものには補助として任務ポイントを現金に換金してくれるという。おそらく病院を開いてほしいと言うロイズさんの思いだろう。これがある事によりリスクがかなり減る為かなと2人でやることを考えてもこの選択が1番自分に合っている。


 あとはカナの意見を聞いてみる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る