第3話 不思議だよね

 理沙は小柄だ、いつも髪はショートにしている。一見活発そうだが実は真面目な部分もある。

 華奢な細い肩、細い腰、街で何度か私服を見たことがある。そうだ、あのなんて言うのかな、服の上下がつながったの…、ワンピースを着ていた。青い空色のワンピース…、かわいかったな…。



「アイドルグループだってギャル系からお嬢様系、お姉さまタイプ、おとなしい系、才色兼備、オバカキャラ、胸の大きい子まで揃えているよね。これってどうしてだろうって思ったんだ…」


「確かにあるわね、そうゆうグループ…」

 ある…、いくつもある…いくつも…。


「男子の希望に応えているんだ…と考えるようになったんだ」


「そうゆう一面もあるね…」


「でもさ…どうして好きな女の子のタイプが分かれるんだろう…」


 首をかしげてちょっと考える仕草をする理沙。


「…」


「不思議だよね…」


「みんな同じ人を好きになったら、すごい競争率になるから分けたんじゃないの…」


「そうなのかな…」


「たくさんの人たちが同時に子孫増やすためにそうしたんじゃない…」


「なるほどね…」


「そうしないと、子孫残せない人がたくさんできちゃうというか、ほとんどの人が結婚できないよ…」


「もてる人しか結婚できなくなっちゃうね…」


「うん…」


「だけどさ…、女子なら誰でもいいってものでもないんだよな…」


「それもあるね…、もてない達也には贅沢な考え方だけどさ…」


「そうだね…僕はもてないね…」

 おっしゃるとおりです。


「大丈夫だよ達也…、この広い広大な世界というかさ、宇宙には『達也がいい!』という女子もいるから…」


「それは慰められているのか、けなされているのか…。宇宙だすか…。日本どころか世界にも、宇宙まで広げないと僕と結婚したがる女の子はいないのか…」


 笑う理沙。

 理沙はもてるからいいよな…。


「一人に集中しても困るし、達也みたいに宇宙までいかないといけないのも困るしね。そんなことだと子孫が少なくなって、その種族が滅んじゃう…」

 

「うん…そうだね。だけどさ…、誰がそんな仕組みにしたんだろう…」


「誰がって、誰もいないでしょう」


「誰がっていうのも変だけど…そんな仕組み、最初に考えだしたのは誰なんだろう…ってね。これってミステリーでしょ…」


 ミステリーにやっと帰ってきた。

 良かった。

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