Chapter 2 ~Introduction~

 世界は半壊している。


 最近打ち上げられた衛星からの写真を見ると、特に沿岸部は壊滅的な打撃を受けたところばかりだ。

 20年前にファーストコンタクトがあった宇宙人たちは先進技術をもたらしに来たわけではなく、ただの難民集団で、しかも追撃されていた。

 追ってきた“天災“はまさに天災だった、対話どころか通信もできない、全長10キロの宇宙船が地球からの観測範囲に出現したのが19年前、ルート上の衛星等を破壊しながら地球に接近する謎の宇宙船に世界中の国は大混乱に陥いる。


 宇宙難民達に技術者は少なく、それでも各国は得られた数少ない技術を活用した対宙ミサイルに反応弾をしこたま詰め、バカスカ撃ち込みダメージを与えていたが完全破壊には至らない。

 難民達から得られた情報で地上資源を得て増殖、侵略する機械で構成された侵略者であることはわかっていたので、未熟な宇宙技術での対抗は諦め、大気圏内での対応に絞った対策を主軸にした為、海洋国は沿岸部が最終防衛ラインとなり当初は空中、海上での撃破に成功していた。


 しかし同時に宇宙由来とも呼ばれる成人発症率が高いインフルエンザのようなウィルス(通称宇宙風邪)が大流行、人員不足に陥った人類は沿岸部に上陸を許しあらゆる国が総力戦となった。


 意思のあるものは老人から子供まで、男女関係なく医学、科学、前線に投入した結果、人類は奇跡的に持ち直し、沿岸国は機械群を海中に叩き込むことに成功、資源の乏しい海中から生産・再生のできなくなった機械群はほぼ殲滅された。


 対して大陸内部に落着した機械群にたいしては大激戦が繰り広げられた、なにせ海中と違い陸上の資源を吸収して機械を作り出す機械群は無尽蔵に思われた。

 しかし周囲の資源を取りつくして移動する機械群を、火力と人力で押し込み続けた結果、土中の資源を取りつくした奴らは共食いからの生産を始めたことが10年前に判明。

 その後観測される機械群の総量は加速度的に低下しており、昨年、各国の軍事対応を折衷する場となっていた国連は人類の勝利宣言を出した。

 宣言をうけて各国は戦前の平和を取り戻すべく国土インフラと治安の悪化した国内の平定に力を入れ始めることになる、しかし今や「戦前の平和」なんてものを知る人はあまりにも少ない。


 世界人口は半減し、汚染された地域も多く点在する、国同士の繋がりも薄くなり、海底ケーブルはようやく引き直し計画が持ち上がったところだ、傷病軍人や軍属は多く、各地の行政はぼろぼろ、治安の低下も激しさを増す。


それでも、なんとか人類は耐えきったのだ。

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