砂糖よりも甘い彼女

元 蜜

第1シリーズ 彼女との日常

第1話 朝のお話

――ピピピピピ……


おはよー。


ねぇ、朝だよ。そろそろ起きなきゃ遅れちゃうよ?


ほら、起きてってば~。


『う~ん』じゃないよ~。


もしも~し! 聞こえてますか~?


えいっ! 起きろ〜!


――バフッ!


キャッ! もうっ! どこ触ってんのよ!


え? シたくなった!?


朝からダメダメダメ……


…………あっ


もうっ! 変な声出ちゃったじゃん!


笑ってないで早く起きてよ~。


朝ごはん冷めちゃうよ~。


うん? 『朝ごはんは‟私”がいい』?


もうっ! 何冗談言ってんの~!?


あ~、朝から恥ずかしっ。


ちゃんと好きなメニュー準備してるから一緒に食べようよ~。


えっ? 『を言ったら起きる』って?


言ったら本当に起きてくれるの? 


じゃあ、仕方がないなぁ……。


大好き…………だよ。 


……これでいい?


え? まだ足りない?


ほんと欲しがりだなぁ〜。


でも今は時間ないから一回だけ!


『えぇ〜!』って……。


じゃあ、続きは夜ベッドで言ってあげるから……ね?


あ〜、私も何言ってるんだろ〜!


じゃ、先にキッチン行っとくね〜。


一人は淋しいから早く来てよ?


――パタパタパタ……



◇ ◇ ◇



――ジュー、ジュー……


おはよー。やっと起きてきた?


わっ! 寝ぐせスゴイよ!


『どこ?』って、ほらここだよ、ここ!


……んんっ!!


もうっ! 急にキスしたら危ないじゃん!


あっ! そうだ! このエプロンどう? 似合ってる?


こんなの好きかな、って思って買ってみたんだけど……。


えっ? 『めっちゃ可愛い』?


えへへ……。ありがとっ。


あっ! そんなことよりご飯ご飯!


お茶は冷たいのと温かいのどっちがいい?


うん、わかった。ちょっと待っててね。


――コポコポコポ……


お待たせ。はい、どーぞ!


あれ? ほっぺたになんか付いてるよ。


取ってあげるからじっとしてて。


はいっ、取れた!


フフ……、ビックリした?


一度やってみたかったんだよね~。口で取ってあげるやつ。


キャー! 私はいいって~!


もうっ! 『ほっぺがマシュマロみたいで最高』って、何その感想!?


それよりもご飯の方を褒めてよ~。


え? 『世界一美味しい』?


それは大げさだよ~!


でも、ありがとう。たくさん食べてね!



◇ ◇ ◇



――カチャ


準備できた~?


あれ? 着替えないの?


え? シャツの色で迷ってる?


う~ん……、今日はこっちかな!



――カチャ


ど~お~? 着替えた? 


どれどれ?


うんっ! 今日もカッコいいゾ!


えっ!? 『他の女の子に惚れられるかも』って!?


そんなのダメー!! 


『はいはい』って……。


そんなイジワル言うから悲しくなっちゃったな……。


え〜、許してほしいの?


どうしよっかなぁ〜?


あっ! ……じゃあ、ギュッってして?


せ〜のっ! ぎゅ~っ!


キャー! 強い、強い! でも、もう一回!


ぎゅ~っ!!


ありがと! これで愛情満タンだよ!


はいっ、カバン!


大丈夫? 忘れ物はない?


忘れ物あった? 何? 取って来るよ~。


……んん!!


もうっ! また急に!


え? 忘れ物って‟いってきますのチュー”だったの?


本当、キス好きだよね~。まっ、私も同じだけど!


じゃあ、いってらっしゃい!


今日も一日頑張ってね!!

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