第4話 既に外堀は埋まっているようです

 俺はレイミィに外の世界に冒険者として旅立つ事について、

 「今はまだ分からないな、とりあえず冒険者にはなるけど、自分の納得出来る武器も作ってないしな・・・」

 鍛冶師の息子として納得出来る武器は欲しいと思うし、造りたいと思う。

 「そっか・・・なら私も冒険者になる!!」

 「はっ!?いやいや、レイミィ?別にすぐになるわけじゃ・・・」

 レイミィの冒険者発言に驚いて思わず俺はレイミィを諌める。

 「今から頑張らないとシルヴァ君には追いつけないもの、だから私も冒険者になる。」

 レイミィの決意は固く、そのまま俺の目を見て、

 「それでね、もし私を連れて行ってくれるなら私をシルヴァ君の・・・」

 その姿は幼いながらも可愛く思わず胸が高鳴ってしまったが、

 「わかった、じゃあ15歳になるまで猛特訓だな!?」

 そう照れ隠しで答えるしかなかった。

 この世界の成人は凡そ13歳でこの齢から自立をさせていく。

 もちろん前の世界よりもこちらの方が厳しいからその指導も半端ない形で行われる。

 とりあえず若いのは冒険者としてダンジョンに潜って生計を立てる場合が多いらしい。

 「ところで、レイミィのステータスは冒険者として生活が出来そうなのかい?」

 俺がそのように尋ねると、

 「うん、魔力と魔法攻撃力と物理攻撃力がね、300以上あるの、後、敏捷も100以上あるからシルヴァ君の後はついていけると思う。」

 一般的な人族のステータスはほぼ二桁が普通らしいそれを考えると俺の場合は祝福がないとその一般的なステータスになってしまうから少し危なかったと思っている。

 レイミィは天才どころか下手すると怪物レベルの才能である。

 「とりあえずお互いに親にしっかりと話をしないとだね、ダンジョンに入れるのは12歳からだけどね」

 そう言ってレイミィの方を見ると、

 「うん!私頑張るから!!見ててシルヴァ君!!」

 レイミィは拳を握り、気合を入れてると、

 「お姉ちゃん、シルヴァ君ご飯の用意が出来たって!」

 サミィが呼びに来たので、

 「行こうかレイミィ?」

 「うん!」

 繋いでた手の反対側をサミィは冷静確保したのは言うまでもなかった。


 レイミィの部屋を出て腕を組む俺を見て父二人(酔っ払い)が、

 「レイミィ、ぷろぽーずは言えたのかい?」

 シィープ一家の大黒柱のアルバが顔を赤くしながらそのような事を宣ったのたまった

 「ちょっと!?お父さん!?飲んだ勢いで何を言い出してるの!?」

 レイミィが顔を真っ赤にして自分の父親の口を塞ぐ。

 「オジさん、俺らまだ成人してないよ?とりあえず食い扶持を稼げるようにならなきゃ・・・あれ?」

 この言い方だと成人して生活が安定したら結婚する流れでは?

 などと考えてると、

 「そっか〜シルヴァ君、成人して生活が安定したらお姉ちゃんをお嫁さんにするんだね~」

 サミィが、顔が笑顔で目が笑ってない・・・

 「その一年後には私もお嫁さんに出来るけどダメ?」

 この子は本当に年下なのだろうか?流し目と上目遣い使って最大限に自分の魅力を活かそうとしている。

 女の子は皆女優、などと前世では言われていたが末恐ろしいとは正にこの事か・・・

 「・・・俺は外の世界に見に行くかもしれないんだ、だから今ここで答えられないよ、サミィが来年の神託の儀で自分のステータスを見てからかな、その時俺についてこれるなら一緒にいてあげる。・・・この話はレイミィに対しても言ってる事だからね?」

 俺が穏やかにそう伝えると、

 「そっか・・・じゃあ、外の世界を冒険出来るならシルヴァ君に貰ってもらえるんだ?」

 あれ?なんか流れが・・・変わってない??

 「お姉ちゃんも結構いいステータスなのはわかってるわ・・・でもそのお姉ちゃんと私は駆けっこもキャットファイトも互角!!いや!!体力勝負なら私の方に分があるわ!!」

 サミィは・・・

 俺はどこで間違えたのだろう?この2人なら平然とついてこれる気しかしない・・・

 そんなサミィを見てレイミィは、

 ジト〜した視線を俺とサミィに向けていた・・・

 これはもう頑張って2人を強くして、俺も強くなるしかない流れでは?

 尚、ウチの親とレイミィとサミィの親は俺達を肴にドンドン酔っ払っていった。

 後処理は俺達がしたのは言うまでもない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る