【SS】少女「ポンコツロボと旅をする」

モルフェ

第1話 【水】

少女「あー、今日も暑いなあ」


ロボ「そうデスね」


少女「そうですね、って、あんたは別に暑くないでしょ」


ロボ「気温30度、湿度74%、アスファルト付近48度、デス」


少女「……」


ロボ「熱中症の危険がありマスので、十分な休息と水分補給をお勧めしマス」


少女「水分ね……」


少女「水分は貴重、貴重……」




少女「Heyポンコ、ここから最も近い水分補給地点」


ロボ「ここから、ゼロ、メートル地点デス」


少女「は? ゼロ?」


ロボ「ご主人の背負っているリュックサックから、水の気配を感じマス」


少女「それ水筒じゃん! こないだ補給したやつじゃん!」


少女「ていうか『気配を感じます』ってなに!? あんたロボじゃん! 第6感ないだろ!」


ロボ「レーダーが反応していることを『気配』と表現してみマシタ」


少女「そんな人間らしくしなくていいから!」




少女「あーもう、じゃあポンコ、ここから二番目に近い水分補給地点」


ロボ「ここからまっすぐ約4キロメートル地点、給水塔がありマス」


少女「それは素人が入っても水が出せる施設?」


ロボ「……データが不足していマス」


少女「行ってみないとわからない、ってこと?」


ロボ「そうデス」


少女「水は貴重、貴重、補給しとくか」


少女「まあ、4キロ程度なら1時間で行けるでしょ」




ロボ「一般的な人間だと、4キロメートルを歩くのに約1時間かかりマス」


ロボ「ご主人の足の長さだと4キロメートルを歩くのに約1時間8分かかる計算デス」


少女「は!? なに!? わたしの足が短いって!?」


ロボ「一般的な人間の体格と比較した場合……」


少女「こらぁ! さっきの暴言は看過できないわよ!」


ロボ「女性ですので体力面でも……」


少女「言い訳すんな! 誰の足が短いって!?」コンコンコン




……


ロボ「見えマシタ。給水塔、目的地周辺デス」


少女「あれかー、大きいね」


ロボ「音声案内を終了しマス」


ロボ「ふぅ……」


少女「今溜息つかなかった!?」


ロボ「ハテ」


少女「その聞き返し方も人間っぽい!!」


ロボ「失礼な。ワタシはロボットデス」


少女「いちいち嘘くさいのよ!!」




ロボ「鍵がかかっていマスね」


少女「旧式の南京錠じゃん。これくらいなら……」


ジジッ


カラン


少女「ほら、焼き切れた」


ロボ「バーナーなんて持っていたんデスね、ご主人」


少女「燃料が少ないからあんまり使えないけどね」


ロボ「ワタシもできマスよ、そのくらい」


ジジッ


少女「対抗すんな」




ゴウンゴウン


ロボ「これで、近隣の水道から水が出るはずデス」


少女「簡単ね」


ロボ「ただ、水質が飲料水として問題ないかどうかがわかりません」


少女「あ、そっか。古いかもしれないのか」


ロボ「調べてみましょう」


少女「ほいほい」




少女「んん……この蛇口固い……」


ロボ「代わりましょう」


ロボ「ふんっ」ゴキッ


ロボ「外れましたね」ジョボジョボ


少女「ロボットもかけ声とか出すんだ……」


ロボ「ああ、見てクダサイこのきれいな水! 冷たい水!」


少女「問題は飲めるかどうかでしょう?」


ロボ「水質に問題ありません! ほらほら! 好きなだけ飲んで好きなだけ水筒に入れてクダサイ!」


少女「なんでロボットがテンション上げてんのよ……」




ロボ「これでしばらく安心デスね」


少女「そうね」


ロボ「熱中症対策には塩分補給も重要デスよ」


少女「塩分ね……そろそろどっかの食品庫を拠点にしたいわね」


少女「ポンコ、ここから一番近い塩分補給地点」


ロボ「ここから、ゼロ、メートル地点デス」


少女「おい」


ロボ「ご主人の背負っているリュックサックから、塩の気配を感じマス」


少女「それわたしの塩分補給タブレットだっつーの!!」


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