第19話 クズの策略

 朝日が世界を照らし始める。


 最近は待ち客が多いので、遅くなっても店に余裕はあまりない。


 そろそろ予約制にすると支配人が言っていた。


 そんな中、とある一団が部屋から出てくる。


「んふ~お兄ちゃん~ありがとうね~」


「いえいえ、楽しんで頂けましたか?」


「うふふふふ~! 大満足よ! またよろしくね~!」


「はい。彼らがまた求めるのであれば、お願いします」


 ギアンさんは見るからに筋肉で強そうな雰囲気もあり、大きな人なのだが、彼女達は誰一人ギアンさんより小さい人がいない。


 ギアンさん曰く、実力・・も凄まじい5人組らしい。一応冒険者との事だ。


 さて、中に残っている彼らに会いに行こうか。




 中にはすっぽんぽんで、力尽きている5人が寝転がっていた。


 部屋の荒らされ方から彼らがどういう目にあったのかは、見なくても分かるようだな。


 5人とも失神しているので、話し合いも出来なさそうだ。


 今しばらく待つ事にしよう。




 ◇




「へぇーこの人達がベリアルくんの元仲間なんだ~」


「あはは、田舎から集まった連中なんですけどね~。ちょっと残念感はありますね」


「でしょうね。仲間に裏切られたんだからね」


 セリスさんと倒れている元仲間達を置いて、隣の部屋で談笑している。


 その隣には最近凄く仲良くなった活発な性格が印象的で、髪もショートカットでどこか姉貴感を感じるクルナさんがニヤニヤしている。


「でもベリアルくんすっごく楽しそうだよ~?」


「そう見えます? 元仲間達が辛い目にあってて、心がズタズタになってますよ?」


「アハハ~! 久しぶりにあくどいベリアルくんを見れて面白い~」


「あくどくないです! これはただのお返しなので」


「クルナちゃん? 今日はお客様とお供するって言わなかった?」


「ん~ベリアルくんの方が面白そうだから断った~お店の外だと、客ってねちっこくて嫌いなんだよ~」


 クルナさんはアフターサービスもやってて、金額は店よりも十倍程高くなるが、お持ち帰りが出来る仕組みになってて、その稼ぎはお店には一切入れず、彼女達が全額手に入れる事が出来る。


 ただ、毎朝まで仕事があるから、その後から対応となると、客も彼女達もしんどいだろうね。


「ほんっとにベリアルくんが来てくれて助かってるよ~」


 彼女達は働きやすくなったようで、ときおりチップをくれたり、色々やってくれる人もいる。俺はあまり求めてはいないので、最初は断っていたけど、セリスさんから貰って欲しいと言われて、言われれば貰うようにしている。


 セリスさんとクルナさんと話していると、元仲間達が倒れている部屋から物音が聴こえる。



「お、おい! 起きろ!」


「ん……あれ? 俺…………なんで裸…………」


「酷い夢を見た気が…………」


 5人が起き上がる。ただ全員裸だが、服は全部破かれているな。



「おいおい、人の店で眠っておいて、酷い夢とは失礼じゃないのか?」



「へ? ――――――兄貴!?」


「「「「兄貴!?」」」」


「おいおい、俺を兄貴呼ばわりするなんて冗談じゃねぇぜ」


「ま、待ってくれ兄貴! なぜここに兄貴が……?」


「ここは俺が協力しているお店だ。お前らをずっと待っていたぞ」


「俺達を……ずっと待っていた…………?」


 俺は指でそいつらの下を指さす。


 それに釣られてみんなその場所を見ると、すっぽんぽんだからイチモツがぶら下がっている。


 すぐに性欲値を300%に変えると、本人の意思関係なく立ち上がる。


「あんなにやられたのに、まだ元気なのかよ……余程溜まってたんだな?」


「ええええ!? なんで、俺の起ってるんだ!?」


「はい。0%」


 一瞬で萎む。


「うわああああ。お、俺の……俺の俺よ~!」


「分かったか? 実はお前らにずっと隠していたが、これが俺の力なんだよ。あの日以来、お前ら全員・・起ちあがらなくなっただろう?」


「これが……兄貴の……力!?」


「全員理解したな。さあて、ここから交渉だ。あの日、俺をボコボコにしてくれたのはよく覚えているぞ」


「あ、あれは! クレイがやれと言って――――」


「いや、お前ら全員楽しんでいたのを覚えてるぞ?」


「そ、それは…………」


「まず一つ。これからもお前らのイチモツは一生起てなくした」


「兄貴! 頼むよ! 昔のよしみで許してくれよ!」


「やりたい時は、先程の5人の冒険者達とならやらせてやろう」


「いやだ! あの人達はもう無理だよ!」


「じゃあ、一生出来ないな。またやりたくなったらうちの店を訪れな。ただし5人揃ってな」


「頼むよ! 俺達が悪かった!」


「いや、昔のような優しい・・・ベリアルはもういない。お前らは一生俺の獲物だ。一つ目の延長だが、料金はしっかり払ってもらうぞ。彼女達への料金も払ってもらうから――――これくらい払え」


「む、無理だ! そんな大金……!」


「王城でたっぷり貰ってるだろう?」


「そ、それは…………」


 部屋に落ちている5人の財布をギアンさんが回収して、中から大銀貨を取り出す。


「当館の特別部屋は大銀貨5枚でございます。そこに彼女達の支払いで大銀貨をさらに5枚頂きます」


 財布から大銀貨2枚ずつ、計10枚を回収したギアンさん。


 ちらっと見た感じ、残り銀貨数枚しか入ってない。


 次来るまで時間が掛かりそうだな。



「では二つ目。これが本談だ」


 全員が俺に注目する。まあ、服くらい着ろよと言いたいが、着る服がないんじゃ仕方ないか。


「これから俺が言う通りにすれば、その不能を治してやってもいい」


「「「「「やります! なんでも言ってください!」」」」」


 凄い食いつきだな。


 まあ、あんな目にあったし、当然と言えば当然か。


 それから彼らに俺の要求を伝える。


 すぐに首を横に振りながら顔が真っ青になる。



「うふふ、そろそろ終わった?」



 後ろからセリスさんがぴょこんと頭を出す。


「セリスさん。すいません。そろそろ終わります~」


「は~い。あら? みんな裸じゃない! 服もボロボロになって……仕方ないわね。うちのレンタル用の服貸してあげるから、あとで返すのよ?」


 セリスさんがボロ雑巾のような服を5着持って来て、彼らに配る。元々準備していたかのように。


「じゃあね~」


 手を振って裏に消える彼女を、元仲間達が食い入るように見つめていた。


「彼女はうちのナンバーワン。最近は予約が埋まってて、まず出来ないぞ?」


 全員が目を光らせて俺に注目する。


「もし、この件が成功したら――――――」


「「「「「やります! やらせてください!」」」」」


 いいぞ。
















 セリスさんとやらせるとは一言も言ってないからな?



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