触れられるの幸せ

なんか、るいがたくさんれてくれる。


嬉しくて、手にキスをした。


ダメだ。


誤魔化したら、そんな感じの人に思われた。


違うのに、月だからしたいのに


お腹の奥の方が、ギュッとされる。


ダメ


ダメ


月が好きなのは、男じゃない、女だ。


両方いけたらいいのに…。


頬に手をあてたら、掴まれた。


嬉しい、もっと掴んでていいのに離された。


なんで?って思うけど…。


嫌われたくない。


一緒にいたい。


ただ、それだけ


気持ち悪い


その手は、たくさんの人にれた


僕は、手を引っ込めた。


ダメ


こんなに綺麗なひとを汚しちゃダメ。


「手、女の子みたいだな。」


そう言って手を見せてって言われた。

差し出してしまった。


チュッ…えっ?


「ごめん。これは、違うくて。挨拶だから。どっかの国の」


「そっか、挨拶。みんなにするやつだね」


僕の手にれたいからなのかと思ったけど、違うんだ。


差しのべられたら、誰にでもするんだ。


ヤキモチやいてる。


さっきの声の人にもしたの?


そうやって、月の唇でいろんな事。


「ここ、マンションなのに壁うすいよね?」


「あっ、気づいてた?」


「うん。」


「そうだね。」


月は、僕から手を離して煮物を摘まんでる。


「僕のも、聞こえちゃうよね。」


「えっ?彼女別れたんじゃないの?」


もしかして何か、期待してくれてる?


「こんな見た目だよ。一人じゃないよ。」僕は、笑った。


こんなの言いたくない。


でも、バレた時の言い訳が浮かばない。


「そうだよな。女の子みたいだもんな。あっ、ごめん。」


「ううん。」僕は、目を伏せた。


その言葉嬉しい。


女の子みたいな見た目が、大嫌いで堪らなかったのに…


あの日、月に会ってこの顔が大好きになった。


「女、殴って」って言ってくれて嬉しかった。


勘違いでも、女性に見えたのなら嬉しい。


あの時の僕は、恋愛対象に入ってたでしょ?


「本当、化粧したら間違えられそうだよな。」


月が、僕の顔を覗き込んだ。


顔が近い。


「やってみようかな」


「なんで?興味あるの」


「そんな事はないよ」


「じゃあ、いらないじゃん。そのままで、充分女だし」チュッ…


「あっ、ごめん。今日消化不良だったから…ビールとってくる」


アイスノンとった、頬っぺたにキスされた。


冷たい痛みに暖かい温もりが、体を貫いて感じた事のない幸せに包まれてビックリした。


何、今の…。


「ごめん。」濡れたタオルとビールを渡された。


「拭いていいから」


「別に、大丈夫だよ。」僕は、ビールをとった。


「そっちのけあるの?」


「そっちって何?」


「いや、なんか、綺麗だから。狙われるかなって」


「確かに、中学生から何度も友達にキスの練習させられた事あるから気にしないで」


「へー。すごいな。誰でもキスさせるんだな?」


なんか、怒ってくれてる?


「怒ってくれてる?」


「なんで、俺が怒るわけないだろ。今もやってんの?そんな事」


軽蔑される気がして、目を伏せて首を横に振った。


「だよな。さすがに30なってやってたらそう言うことだよな」


「そうだよね。ハハハ」


うまく笑えない。


「明日も、暇?」


「うん、家で仕事するから」


「あぁ、じゃあ明日も飲もう。もうさわらねーから」


さわっていいから」


何言ってんのかな、僕。


「嘘、嘘、嘘」


嘘って何回言おうとしたかな?


「抱き締めていいの?」


「えっ?」


「だから、抱き締めていいの?」


僕は、頷いた。


「なーんてな。冗談。ハハハ」


冗談…。なんか、傷つく。


抱き締めたくなんかないよね。


れて欲しい。


れたい。


僕は、我が儘だよね。




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