一緒にいたい

ピンポーン


インターホンが鳴った。


「はい。」


ガチャっ


「あのメッセージなに?」


明日香が現れた。


「文字のままだけど」


バチンっ


頬を殴られた。


「時雨、やってよ。」


「はいよ。」


また、きた。


「玩具、卒業したいって意味だった?」


ドカッ。腹を蹴られてうずくまった。


「違うよ。別れたいって意味だから」


「誰が、許したの、それ」


「もう、嫌なんだよ。」


バチン、頬を殴られた。


「好きでしょ?殴られんの。ずっと知ってたよ。」


「もう、違うって話したよね?」


バチン、また殴る。


ひかる、与えられた事だけしてればいいの。」


明日香が僕にキスをした。


バチン…時雨にまたぶたれた。


「2日後、ななみちゃんがここにくるから」


「はい、これ。」


そう言って三万を渡された。


「あんたに権利なんかないから、その顔でたくさん稼いでね。ひかる。」


また、キスをされた。


「じゃあな。」


バタンッ、扉を閉められた。


頬が、じんじんする。


るいが助けてくれた後、時雨は明日香と付き合った。


明日香は、僕の顔がとても綺麗な事を誉めちぎった。


しばらくは、二人に会わなかった。


10年前に再会をした、時雨は復縁を求めてきて、るいに会えない僕は受け入れた。


そして、僕は時雨に売られた。


それから、僕は、男も女も相手にする仕事をさせられている。


どういう仕組みなのかは、全くわからない。


ただ、僕のマンションに僕を買った人が来て、僕にお金が三万円はいる。


安いか高いかもわからないし、いくら払われているかもわからない。


ただ、来た人は僕を欲しがるだけ。


一度相手をすると、何度も同じ人が僕を買うのだ。


途中からは、数えなくなったけど


何人としたかな?


るいに、相応ふさわしくない事だけはわかる。


とてつもなく、よごれてる。


洗面所の鏡で、顔を見る。


明日、腫れそう。


唇の端から、血が出てる。


明日香のキスを忘れるために、洗い流した。


いつになったら、逃げれる?


頭がボッーとして、彼の部屋の前に来てた。


カチャ


鍵が、かかってなかった。


僕は、部屋にはいる。


布団で、彼が寝てる。


ダメなのなんてわかってるのに、隣に寝転がった。


綺麗になりたい。


女の子になりたい。


気づくと寝てた。


「もしもし、矢吹さん」って言われて目が覚めた。


久しぶりにゆっくり寝れた感じがした。


ゆで卵のお礼に、煮物を食べさせてくれた。


涙が出るのを抑える。


ひかるは、パパに似て綺麗な顔してる。これ、お婆ちゃんから煮物だよ。食べる?」


五歳の時、半年だけ父親に引き取られていた。


その事を思い出した。


るいが、僕にれる。


胸が早くなる。


ダメ、ダメ、ダメ。


るいの話を聞いて驚いた。


僕よりも酷い話だ。


なのに、さらっと話す。


産めるなら、欲しいよと言ってしまった。


嫌われたかな?


気持ち悪いよね。


両方いけるって、知ったらひく?


金で買われてるって言ったらひく?


アイスノンが冷たくて、頭の中まで冷やしてくれる。


ビールをまたくれた。


無言は、辛い。


でも、同じ場所に居て、同じ空気を吸ってるだけで幸せ。


望まないから…


付き合いたいとか…


そんなのいらないから…


友達として、傍にいれないかな?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る