第9話 文化祭

 無事に挨拶も済み、お弁当の事も承諾してもらえました~。案外あっさりと認められちゃったけど大丈夫だよね?

 結局材料費は誠のお母さんが一部出してくれることになった。それが最低限の礼儀だって押し切られちゃった。


 あとなんか誠は私を送っていくついでに両親にも挨拶してこいって言われてそのままの流れで私の家に来た。

 その時の誠の所作が未来の誠と一切合切同じで笑い出しそうなのを必死に抑えてたのは内緒。



 それから私は毎日お弁当を2人分作るようになった。未来の生活の一部が帰ってきたみたいで懐かしさと嬉しさがこみ上げてくる。

 しかも今は一緒にお昼ご飯を食べられるから誠の反応も見れて楽しい。もう最高ですね。


 試食も兼ねてるおかげで文化祭の料理も順調に決まっている。オムライスにパスタ、試食は出来なかったけどパフェもやることになった。

 そして残念ながらハンバーグと唐揚げは却下。『文化祭で出す料理じゃない』らしいです。



 文化祭当日、私たちのクラスはそこそこの賑わいをみせている。今がお昼前っていうのもあるかもしれないけど、休む暇がないぐらいには皆それぞれ動いている。

 私は昔居酒屋でバイトしてたからこういうのも慣れているけど皆は随分と慌てている様子。これは私が頑張らないといけないやつですな~。


 落ち着いてきた頃、チラリと時計を見てみるともう13時を回っていた。休憩に出ていた子が戻ってきて私も休憩に入る。


「誠お待たせ~」

「ん、じゃあ行くか」


 休憩時間は誠と文化祭を見て回ります。せっかくだから楽しまないとね~。

 ゲームをしたりクレープとか食べ歩いたりととっても楽しい。正直私が通っていた高校の文化祭よりも数倍良いと思う。


 あっという間に休憩時間は終わっちゃってまたクラスの喫茶店で働かないとね~。自分のクラスで働いているのも楽しいからいっか。


 また来年も再来年も楽しい文化祭にしたいかな~。



 文化祭も終わって気が付けば体育祭も終わった初冬のこと、最近は毎日登校も供にするようになった誠へ下校の誘いをするために声を掛けた。

 6限から寝てたみたいだけど起きてるよね?


「誠、今日も一緒に帰るよね?」

「なんでここに咲季がいるんだ? やっぱり夢かこれは」


 …………はい?


 今思えばこの日から誠はこっちに来ていたんだね。

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