ラビット's Sky

デルタイオン

フェンシングフェアリー

この戦場は突然変わってしまった。


雲の中から奴は突然出てきた。


マッハ5を超えるスピードで一直線に油断していた俺達の腹を食い破った。


「ッハァ……ハァ……うお!?」


眼の前を味方の戦闘機が通り過ぎた。


奴が追われているのは二匹のUAVだ。


パラシュート降下をしている俺の機体はもう眼下に無い。海の底だ。


また1機味方が落ちていった。


味方は一斉攻撃で奴を仕留めようとしたらしい。


全機が1機の尻を追う。


しかし、奴は翼を変形させると失速し、推力ベクトルを変更し、後ろを向いた。


そして、8発のミサイルを味方へと放った。


突然の事に回避が遅れた奴が次々と散る。


破片でまた味方が散る。


後ろが追いかけてきたUAVが主機を気にせず撃ちまくり、味方を落とす。


もう既に戦闘継続可能なのは居ない。


ただ一匹のフェアリーが空を遊々と飛ぶ。


残された飛行機雲は青い空を制した証。


「狼野郎が……」


憎しみからその名を呼ぶ。


今度は無い。復讐するだけ無駄だ。


奴は史上最強のフェアリー。4枚羽なのだから……

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