転生したら世界最強の概念存在に遭遇したんだが?

新月鏡餅

第1話 プロローグ1

「――あれ?俺、何してたっけ?っつーかドコだよここ」

見渡す限り白以外の色がない世界でコンクリートのような地面に何時の間にか寝っ転がっていた男は疑問を感じていた。


           回想に移ろう


そうだ。俺は家でニートしてたんだ。それで、久々にコンビニでポテチとコーラでも買いに行こうと思って家を出て、運動しない体でようやっとコンビニに着いたって時に信号無視&暴走したトラックが突っ込んで来て轢き飛ばされたんだ。で、現在に至る、と。


「HA?」


もう一度言おう。は?


いや、ラノベとかであるよ?トラックに轢かれて転生って。どうせこの後神か天使が出てくるんだろ?


(よくわかってるじゃないか)


ダレダオマエ…!?直接脳内に…ッ!?


直接心に話掛けられビックリした。衝撃で寝ていた体を飛び起こさせ、捉えた目の先には―――


「此度の件は誠に申し訳ございませんでした」


白髪に金の瞳を持つ女が居た。祭服のような、この空間に相応しいような白を纏った格好で、それはそれは整った顔に申し訳なさそうな表情を作り腰を直角に折り、謝罪を口にしていた。


「実は、貴方の死は私のミスによって引き起こされた現象なのです。現世での貴方の肉体はグチャグチャで現代の認識ではこれからの回復は絶望的どころか不可能です。

なので、代替案として異世界への転生を特典を付与した状態で送ります。特典内容は貴方に決めてもらいます。この特典はお詫びの意味もありますので遠慮なく言ってください」



うーん…テンプレって感じだ…! でもまぁチート特典貰えて異世界に行けるなんて、ヲタクとしては最高だな!俺ってば主人公なんじゃねーの?


(ハハハ、ナイナイ。お前みたいなのが主人公だったら秒で世界崩壊だわ)


またかよお前。っていうかうるせーよ。誰だって妄想くらいするだろ?


語りかけてくる謎の声に反応していたら、天使(?)さんから遠慮がちに声を掛けられた。


「あの…特典内容…」


あぁ…何がいいかな やっぱりカッコいいのがいいよな!


「時間と空間を操る能力が欲しいです!」


やっぱりこれだよな、これでWRYYYYYとか出来るし、瞬間移動も出来る。

最強だな。


(いやだねぇ、発想が貧困で常時財政破綻してるような奴の思考は、簡単に最強とか言いやがる)


テメーマジなんなん?もういいや、放っとこ。気にしても仕方ないしね。


「了解しました。では、異世界へとお送りさせていただきます。

転生後には能力が使えるようになっていますよ」


「あぁ…それは良いんだが、貴方は一体何者なんだ?」


「私はしがない天使ですよ。主に転生者の転生案内をしております。」


成程。天使さんだったのか。確かに、言われてみれば何となく神々しい感じがしてきた。いや、気のせいか。


「もう質問は御座いませんね?」

「あぁ。大丈夫だ、問題ない。」


これを言うとフラグになりそうな気がするが気のせいだろう。


「では、転生を開始します。貴方にどうか、幸あらんこと―――ガフッ!?」


(お前にただの転生は勿体ない。もっとチートをつけてやるよ。)


――意識が薄れる…これが転生か…心地良いなぁ…


そうして俺は、無事に転生を果たした。天使さんが最後に呻いて、頭からアイツの声が聞こえた気がする…だけど、気にしてもしかたないかな。



◇◇◇◇◇SIDE:???◇◇◇◇◇


男が転生している最中、天使は死亡した。

原因は――(あぁ、ソレは俺だ。言ってもわからんか?まぁ一話で分かるヤツ何て居ないがな。俺はこの世の原作者代理にして創造者≪イブリース≫だ。覚えておけ)—―― …≪イブリース≫なる存在が天使を殺害したからである。

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