第17話 皆それぞれにいるであろう。

この扉を開けたなら、皆それぞれにいるであろう《家族》の話。

たとえばラブソングを歌うとする。

ラブソングは、謂わずと知れた、恋する人を想う歌だ。

だが、しかし、その歌を。

歌っている自分の歌声を《身内》が聴いているとしよう。

そうしたら。

あーら不思議。

なんと、変化していくよ。

気持ち。

何を歌っているか? って。

それは恋する者への思慕だった。

はずなのに。

あーら不思議。

「いてくれてありがとう」。

「いつまでもいっしょにね」。

怖い。

怖い怖い怖い。

誰か、《家族》の誰かが亡くなる、その日まで。

《家族》であることは止まらない。

寂しい。

寂しい寂しい寂しい。

ぐっとくる悲しみが不意に訪れるから不思議だ。

歌ってみるといい。

《愛するもの》。

そうは思ってなくたって。

普段の、そんな気持ちはラブソングに掛かれば、露わになる。

ぐっとくる。

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