3-2.やっぱり正65537角形は描くものみたいです

No.9869デリーの鉄柱

No.9422正65537角形

No.3402笑止千万


「家の中にあるものだけでしりとり―!」

「「「いえーい!!!!」」」

「ルールは簡単。カメラの前に物なりなんなりを見せる。捜索の制限時間は5分。判定はすべて俺次第なので、十分に阿るおもねるように! 無理やりにでも説き伏せないと負けるかもしれませんが、逆に無理やり説き伏せられたらセーフとなります」

「……」

「じゃあ最初はしりとりの『り』から。早瀬!」

「はいよー、お待ちー」


「はい!『リーベルマンブルハルト試薬』。『く』!」

「「「ちょっと待てい!」」」

「ん? あー、今研究室おるからさ。勘弁」

「早瀬の奴、ばか卑怯じゃね?」

「でもリーダーがさ」

「合格!」

「よしっ!」

「「俺ら、やばくね?」」

「はい次、下田!」

「はいはい。『く』ね?」


「はい。『熊手』。正月にくじ引きでもらったやつ」

「早瀬との落差よ」

「家にあるもんなんやからこうなるやろ! 早瀬が研究室なのが卑怯なんや!」

「はい、合格。面白くもなんともねえけどな。次、安田」

「ほい」


「『デリーの鉄柱』」

「なんそれ」

「審議!」

「っていってもなー。昔ガチャガチャで『世界遺産シリーズ』ってのがあって、それの第3弾か4弾かそのあたりの、バカマイナーな奴」

「で?」

「は?」

「証明は?」

「できん。けど、デリーの鉄柱調べて出てくる画像と比べればわかるやろ」

「確かに。うーん。めんどいから合格!」

「やったぜ」

「よし、とりあえず1周な。2週目からは判定厳しくしていくで。次早瀬」


「『宇野昌磨』のカレンダー。研究室の奴」

「おー。まごうことなき宇野昌磨。合格!」

「研究室って単純、物の数多いし負けなくね?」

「いいから次いけや!」


「『マロングラッセ』」

「なんでそんなんあるねん」

「いや、彼女のデザート」

「は?」

「後で食べるって。冷蔵庫に入っとったやつ」

「なんかむかつく」

「だよな?」

「俺、こんな時間に研究室におるのに」

「それは早瀬の勝手じゃね?」

「むかつくけど、私情で不合格にするのも逆にむかつくから合格でいい」

「なんで?」

「じゃあ次俺な」


「『正65537角形』」

「おい、まてやこら」

「それはあかんやろ?」

「とりあえず話を聞かせてもらうか」

「話もなにもな。小学生の頃に、夏休みの自由研究でやってん。で、スケッチブックにまとめたやつ。書き方言うたら証明にならんか?」

「えっとー」

「ちょっと中見してみ?」

「ん? こんなん」

「あー、もういいわ。めっちゃへたくそな字やからたぶん小学生の時の字やろ。これはごまかしにくいわ」

「はい、合格」

「なんで不服そうなんや」


「『インドール試薬』」

「もう突っ込むのも疲れたわ。そんな試薬、お前の研究室で使う?」

「インドール試薬ってなんやっけ?」

「細菌の同定の時の奴やろ?」

「腸内細菌の奴な」

Providenciaプロビデンシアと、Proteusプロテウスと、あとなんやっけ?」

PlesiomonasプレジオモナスEscherichia coliEコリ

「「「あー」」」

「もう、そこまで覚えとったらええやろ。合格」

「次俺か。あー、ちょっと待っててや」


「え、ちょっと恥ずかしいー」

「ごめんて。ちょっとこれしか思いつかんねん」

「えー、ホンマにやるん?」

「頼むわ」

「ご褒美は?」

「駅のパンケーキ食いに行こな」

「じゃあいいよ?」

「はい、あーん」

「あーん!」

「ありがとー」

「うん」


「はい」

「おい、俺らは何を見せられたんや」

「口移し」

「やば! こいつ頭おかしいやん!」

「そろそろ不合格にせんとあかんやろ!」

「これはさすがに……。無理や。俺の理性が持たん。不合格!」

「「よしっ!」」

「はあああああ!」

「じゃあ次、ん-、続きで行くか。『し』な、安田」


「『笑止千万』の缶バッジ」

「あっ、……」

「昔ガチャガチャでやってん。四字熟語シリーズやったと思うけど」

「安田?」

「ん?」

「『ん』」

「は?」

「しりとりで『ん』ついとるで」

「あ」

「はあ、これは早瀬の勝――」

「ンジャメナとか! ンドゥールとか! ンゴロンゴロ文字とか! あるやん! まだ負けてない!」

「あるわけないやろ! 持ってこんかい! ンゴロンゴロ文字が書いてあるものを!」

「それを持ってくるのは早瀬やろ? しりとりなんやから」

「……」

「早瀬。お前の負けや」

「やば」

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