家族の真実

第1話 待ちに待った憲法改正

　刑法199条改正法案が可決された。

刑法199条、つまり殺人罪である。

　21世紀に入り、日本では加害者の罰を重くする機運が国民より高まり、ネット上では加害者の名前や住所が晒される様になり、加害者家族の自殺が増えた。そして被害者にも、報道により人権が無視され自殺者が出てしまう痛ましい事件が増えてしまった。　

政府は事態を重く受け止めて、被害者遺族、国民が納得しうるよう、人を殺した罪は自身で償わせる法案を急ぎ可決させた。そして2027年ついに法案が改正された。

刑法199条改正法　第一項

　殺人を犯した者は死刑

刑法199条改正法 第二項

　殺人を犯した者は人権を喪失し、以後裁判に置いて弁護士をつける権利を禁ずる

刑法199条改正法　第三項

　殺人犯の死刑は確定であり、地方裁判は行わず、上告出来ない物とし、最高裁判所での判決をもって刑を確定する

　この法案が審議され、ニュースになると一部の人権派団体や死刑廃止派弁護士達がデモを起こしたが、被害者遺族達は歓喜した。これで殺人加害者は、外の世界に出てくることは無くなった。

　そして裁判で加害者を弁護する、弁護士の無理矢理な言い分によって減刑されなくて済む事になる。

しかし、この法改正によってある被害者遺族は人生が変わってしまった。