それは冒険ともいえる1日 ①

 夏服を落札してから、2日後。今回は受け取りを密かに行うため、ちょうど1週間後の金曜に予約配達を頼んでいた。つまり、落札した日曜から4日ほど待つことになる。月曜日は脳裏に私服に対する想いがあったものの、大学4年生であることもあり、普通に勉強の日を過ごした。翌日火曜日はなんと1限と5限というとんでもなく空きコマのあるスケジュールとなっていた。

 この日は朝から傘をしっとりと濡らす空で、とても良い気持ちにはなれなかった。私は雨が嫌いというわけではない。むしろ世間一般の中では好きな部類に入るだろう。明日が休みの夜なんかにシャッター越しに聞こえる雨音に耳を澄ませて物思いにふけるくらいだ。

 しかし、この日は違う。ただでさえ苦手な早起きをして内なる心に逆らいつつ重い重い玄関の扉を開いてきたのだ。その苦労を知らず天は無慈悲に過度な湿度と私の片手を塞ぐ。そんな中なんとか大学に着き、1限を受け始めたわけだが、ここで悪魔の囁きが私の脳内に響く。「5限サボっちゃいなよ」と。確かに大学というのは1コマ大体90分ある。空きコマが3つと、昼休みの時間を考えると合計5時間30分待つことになるのだ。

 真面目で勤勉な読者諸賢は勉学や自分を高める為の時間として使うだろう(決して皮肉の意はないことをことわっておく)。私はそうはいかなかった。その時間のつぶし方は浮かんでいたが、手が拒絶してしまった。妥協してもスマホゲームだろう、と。

 ここで私服のことを思い出した。

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