2

 ハルカが叫ぶ。と、どうじに


 キィイイイイッ


 耳をつん裂くみたいなブレーキ音と、


 ガシャッ ガシャッ ガシャッ


 ひどい破裂音が空気を震わす。


 「事故った!」


 大破したハイエースがみるみる後方に遠ざかり、


 …え?


 かわりにわりこんだ見覚えあるカーキのジムニーがぼくたちを追ってきていた。


 ジムニーはせいいっぱい煙を吐きながらビートルまで追い上げてくる。


 「あれ、」

 ハルカの顔が明るくなる。

 「どうしよ、オレ、いまなんの手土産もないや」


 いらない…いらないよ!


 お巡りさんが愉快そうに窓を下げる。追越車線に並んだジムニーも。その運転席から、


 「お義父さん!」


 ツキノワグマが顔をだした。そして、


 「最低だ、おまえ」


 両腕を広げてそう、お巡りさんにいい放った。

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