見たくない感情に蓋をしてしまいがちな人へ

 人の中にある醜い感情。
外見や素振り、そういう目に見える分かりやすいものよりも、一見分かりにくいからこそ、厄介で残酷なものです。
 この小説では、そういった普段私達が目を背けがちな感情を、ストレートに表現しています。

 一見、とても優しい世界なんです。登場人物皆魅力的で、人間ができている。
 けれど思わず目を背けたくなる現実や、私達が普段なんとなく分かっているフリをしつつ、向き合うことを後回しにしている感情や言葉が、散りばめられています。ギクッとします。
 それがこの作品の一番の魅力であり、読み続けたいと思わせるスパイスかなと感じます。

 主人公の幸子ちゃん(さっちゃん)は、登場当初、「なにもそこまで卑屈にならなくても……」と声に出して応援したくなるほど、自分に対して大きなコンプレックスを抱えている女の子でした。

彼女が友人達と絆を深める中で、清々しい成長を遂げていく姿が眩しいです。
図書館編では、もはや本作のヒーローポジションにいるのではないか? と思うほどの成長ぶりです。

今後の展開が楽しみです!

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