桑海感
二〇キロの舗装路を歩いた先で河畔に座る。イヤフォンの充電が切れて、アイシテル変換大喜利は聞けなくなった。僕たちは言葉を授けてもらえなかったから、アイシテルしか見つけられなくなったのかな。
風が顔と首に触れて、汗をかいていたと知る。汗はさらさらと流れているのではなく、膜みたいにべったりと覆っていた。今更日焼け止めを塗っていないことを後悔する。ジリジリする肌も風が吹けば快を感じる。生物にとって体温調節が大事だということを実感する。資本主義は生体活動のすべてを利用する。僕は再び風そよぐを待っている。
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