第15話 私が失ったもの、得たもの 2

鬱々とした日々。そんなところには、友達から連絡が来た。どうやら、紹介したい人がいるという。


彼女いない歴≒年齢、学生。

 

もう社会人として一応自立して生活していた私には、どうにもピンとこないどころか、がっつりハズレ案件じゃないかと思って、最初は断った。


が、友達のゴリ押しもあって、渋々その「彼」と会ってみることになった。


友達から紹介された「彼」は獣医学部の大学院生。勉学に没頭していたのか、彼女いない歴≒年齢。

年齢的に結婚も考えていた私にとっては、正直難しいなと思ったが、鬱々とした日々に少しは彩りがあってもいいか、と思った。


初対面の日。カレーを食べた。

なかなかにスパイシー。


「辛いですね、ここのカレー」

「そうですね、、、」


おっと、こちらの会話もなかなか辛口だ。


そう、彼は人見知りなのか、ほぼ無言だったのだ。

私が一生懸命話して盛り上げる。正直疲れる。

躁モードなら、苦にならないかも?


次はないなと思ったが、帰り際に「あの、連絡先交換しませんか」と。


一応そういう心得はあるのだな、と思って、LINEを交換した。


「今日はありがとうございました、今度は動物園でも行きませんか」


え、次のお誘い、、


正直次はないなと思っていたが、次も考えてくれているのかと思ったら、無下にできなくなったので、次の約束をした。


そして、2回目には動物園に行った。

彼は獣医学部なので、動物には詳しい。

いろんな「うんちく」を交えながら、動物について説明してくれた。

どこかキラキラしているようにも思えた。


そこから、彼を見る目が変わった。

「ああ、割といいかも」って思った。


そんなところで、何回か会っているうちに、お付き合いを申し込まれた。

「まぁいいか」とOKした。


仕事を失い、婚約破棄もあり。まさにどん底だった。

鬱々とした日々が回復してやっと上がり調子になってきたところで、彼氏ができた。


これはもう上がる伸びしろしかないだろう。

まぁ、上がり過ぎは禁物なのだが。


でも、当時の私は「上がった状態」が本来の自分だと思っていた。

だって、「うつ病」の診断だったから。


やっと本来の自分に戻れた。

新しい彼とは上手くやっていけるだろう。


ガチ鬱から回復して、転職活動もして、新しい仕事も決まった。


彼氏もできて、新しい仕事も決まった。

よし、これから頑張ろう。きっと頑張れる。


しかし、「本来の自分」は長くは続かなかった。








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