第18話目覚め

夢にうなされた後、犬型のクロと一緒に寝たお陰だろう…


理久は再び悪夢を見る事もなく深く眠り、やがて朝になり目覚めた。


「う…ぅ…ん」


そっと、理久が瞼を上げる。


そして、きっと…


あの黒の毛並みの犬型のクロが傍にいると思い出し喜んだ瞬間…


右向きで横たわる理久のすぐ真向かいに

、いつの間にか人型になって眠っているクロがいた。


しかも…


クロは、着ているローブがはだけた鍛えられた逞しい胸で、理久を頭から抱いていた。


「!!!」


理久は、思わず悲鳴を上げそうになったのをなんとか堪えた。


しかし…


クロの胸の筋肉が逞しくて、同じ男なのに妙にエロくて内心大パニックだった。


そしてその反動で理久が身じろぎした所為で、クロもやがて目覚めた。


「おはよう…理久…あっ!えっとこれは

、わざとじゃなくて、その…いつの間にか人型にだな…」


そう言いながらアタフタして、クロが起き上がりベッドの上に正座すると、急遽犬型に変身した。


そして、又、耳と尻尾が、逞しい大型犬があまりに哀れに見える程にしおしおになる。


「フッ…ハハハッ…」


理久は、かわいくて思わず笑ってしまったが…


「分かった。いいよ…クロ…でも…お仕置きはするよ…」


理久が、天使の様ににっこり笑った。


しかし…


それに、クロはビクッとして少し体が後ろへ下がり、耳が更に萎れる。


あっちの世界にいた時に、ごくたまに犬のクロにお仕置きと言えば、くすぐりの刑が主だった。


理久のくすぐりは絶妙で、クロはいつも息も絶え絶えに悶えのたうった。


「クロ!コチョコチョコチョコチョコチョ!」


理久が宣言通り、ふざけた感じで犬クロの脇や腹をくすぐりだした。


「ウーッ!ウーッ!ウーッ!」


クロは、柔らかいキングサイズベッドの上でへそ天でのたうちながら、戸惑っているような獣声を上げる。


それがかわいくて理久の指先が、更にヒートアップした。


しかし…


「理久!」


クロがそう叫び人型に戻ると、今度は上から、理久をベッドに押し倒した。


「ハァハァハァハァ……」


激しい息を繰り返し、ローブを乱したクロが上気だった顔で理久を見下ろしてくる。


「ハァハァハァハァ…理久…理久…理久…」


クロのその姿と眇られた青い瞳を見て、理久の、体の分からない奥が又キュっとした。


そして、二人で暫くの間見詰め合う。


しかし…


フイっと先に視線を逸し、体を移動したのはクロの方だった。


「着替えて、朝食にしよう…」


あっさりベッドから降りて、かなり乱れたローブを整えながらそう言うクロの広い背中を見ながら、理久はなんだか胸の奥に切なさのようなものを感じた…









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